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元ジャイアンツのエースだった桑田真澄さんは、怪我をしてリハビリ中に、下半身を鍛えるために、グランドをランニングしていたところ、その跡が残り、それは「桑田ロード」と呼ばれるようになりました。そして、桑田さんに倣って、そのような努力の跡を作ることは、自分自身への励みにすることができます。
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先日、プロ野球読売ジャイアンツのエース投手だった桑田真澄さんが、再び、読売球団の指導者に就任したという発表がありました。私が桑田さんに関して最も印象に残っていることは、桑田ロードです。これは有名なエピソードなのですが、改めて説明すると、桑田さんは、平成7年5月の試合中の守備で、右ひじに怪我を負い、それを治すために、米国に渡って手術を受けました。
約2年後の平成9年4月に、桑田さんは、再び、試合に登板することになりますが、復帰するまでのリハビリ中に、「ボールは投げられないけれど、下半身は鍛えることができる」と考え、2軍グラウンドでランニングを続けていたそうです。その桑田さんが走っていた部分は、芝がはげて跡が残ったため、他の選手たちがその場所を、「桑田ロード」と呼ぶようになったというものです。この桑田さんが実践したようなひたむきな努力は、私がわざわざ述べるまでもなく、多くの方が称賛していることでしょう。
とはいえ、私のような大した能力のないものは、仮に、芝がはげるくらいのランニングをするという努力をしたとしても、それに気づいてもらえたり、気づいてもらえたとしても、それを称賛してもらえることはほとんどないでしょう。そこで、そのような場合に、自分自身の努力に対して、「●●ロード」と呼べるような「跡」を作ると、その後の活動の励みになると、私は考えています。
例えば、トイレ掃除で品質の高い経営を実践してこられたことで有名な、イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんは、片手で握れるほどのボールペンの替え芯の束が宝物になっていると述べておられます。このボールペンの替え芯は、鍵山さんが、はがき道の創始者の坂田道信さんから勧められて始めた、お世話になった方へのお礼のはがきを書き続けて行くうちに、たまったものだそうです。
鍵山さんは23年間で7万枚のはがきを書いたそうですが、そのような顧客への接し方が、イエローハットの成長につながったのでしょう。とはいえ、鍵山さんは、かつては、ご自身の取り組みについて、周囲の評価が低かったと言っておられますが、ボールペンの替え芯を見ることで、ご自身を奮い立たせて来たのではないかと、私は考えています。みなさんにとっての「桑田ロード」はありますか?いまはない場合は、これから作ることはできますか?