鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

根本的な帰属の誤り

[要旨]

人はどうしても感情に支配されてしまう面があるので、特にビジネスパーソンは、自分の考え方が最善であると過信してしまうことは避けることが無難です。


[本文]

吉川清史さんが、ダイヤモンドオンラインへ寄稿した、「マスクをしない人を『自分勝手』と判断する人の思考回路」という記事を読みました。(ご参考→ https://bit.ly/30fiymE )その記事によれば、「『マスクをつけていない」という事象だけで、『自粛しない=自分勝手』と決めつけるなど、個人の特性(意図と人格)を判断してしまう間違いを、社会心理学用語で『根本的な帰属の誤り』」というそうです。これは、私自身を含め、多くの方にそのような傾向があると思います。

そうなってしまうのは、「人々は『直感』に自信を持ちすぎているようで、慎重に考えることを『面倒』だと感じる」からのようです。例えば、有名な実験のようですが、「野球のボールとバットが合わせて1万1千円で売られていて、バットはボールよりも1万円高いとき、ボールの値段はいくらか?」という問いに、約50%の人は、ボールの値段を、1千円と回答してしまうそうでうす。正しいボールの値段は500円ということは、少し考えれば気づくことなのですが、半分くらいの人は、あまり考えることをせずに、直感で考えてしまうようです。

ここまでが記事の概要ですが、私は、この記事を読んで、会社経営者の方は、なるべく、直感よりは事実に着目して行動することが望ましいと、改めて考えました。とはいえ、このことは、私でなくても、多くの方も同様に考えると思います。ただ、私が、これまで多くの中小企業の事業改善のお手伝いをしてきて感じることなのですが、経営者の方の多くは、「自分の構想する方法で事業を成功させたい」と考えているようです。このことも当然のことと思われますが、注意しなければならないことは、前述のように、必ずしも、「自分の構想する方法=最善の方法」とは限らないということです。

では、そういう前提で、経営者の方が事業に臨むにあたってどうすればよいかというと、採るべき方法は2つだと思います。ひとつは、事業を成功させることを最優先にし、仮に自分の構想で事業を始めても、事業を実践しながら事実を積み重ね、成功する方向に事業を修正していくことです。ふたつめは、自分の構想はなるべく変えないようにするものの、それを成功させるために不足することが見つかれば、それを追加してくことです。どちらかというと、前者の方が、事業を成功させる難易度としては低いといえます。

ただ、経営者としては、自分の構想を実現させることが起業の動機にもなっているので、後者の方法のように、自分の構想をあまり変えずに、そのために努力を重ねて行くことの方が、事業を継続するためのモチベーションを維持できるので、より早く事業を成功させることにつながるかもしれません。そして、経営者として避けなければならないことは、自分を過信し、「自分の構想=最善の成功する方法」と考えてしまうことです。人間には、論理的には説明できないすばらしい能力を発揮できる面がある一方で、感情が支配している面もあり、論理性が問われる局面では冷静さが必要です。もちろん、私自身も感情的な判断に偏り過ぎないよう、これからも注意していかなければならないと思っています。

 

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