[要旨]
事業がなかなか改善しないと悩んでいる会社は少なくないようですが、一方で、やれることをやり尽くしたという会社はあまり多くなく、派手ではななくても小さな改善を重ねることが大切です。
[本文]
経営コンサルタントの相馬一進さんのブログを読みました。(ご参考→ https://bit.ly/36Zbqwc )記事の主旨は、以前、相馬さんが、ピーター・セージという起業家が書いた、「自分を超える法」という本の翻訳に携わったことがあるが、その本の中に、同氏が、「やり方の分かる目標は小さすぎる」と書いていた。すなわち、同氏は大きな目標を建てるべきと考えているが、相馬さんは、「苦境から一発逆転できるのは、宝くじが当たるくらい幸運な場合だけ」であり、相馬さんの見て来た成功者は、小さな目標を建て、こつこつと小さな成功を積み重ねてきた人だ、というものです。
本旨からそれますが、巷間には、「誰でも必ず事業が成功する方法」とか、「すぐに事業が成功する裏技」などを教えようとする人が少なくないので、大きな目標でもすぐに達成できると考えてしまう人が多いのかもしれません。または、すぐに大きな目標を達成できると信じ込んでいる人が多いから、そういう人を狙って、「攻略法」や「裏技」を教えようとする人が多いのかもしれません。両者は、「にわとりとたまご」の関係にあるのかもしれません。いずれにしても、経営者になったからには大きな目標を建てて実現すべきと考えている人は多いのも事実でしょう。
話をもどして、私は、相馬さんと同じ考え方をしていますが、今回は、「事業を成功させようとするには、欲張って大き過ぎる目標を建てずに、時間かかっても、小さな目標を建て、成功を積み重ねていくべき」ということを述べようとしているわけではありません。起業して失敗してしまう人は多いと言われていますが、その失敗している人たちの中には、「大きすぎる目標」を建てている人もたくさんいると思われます。
そうであれば、コツコツ型の起業家だけを見れば、成功率はかなり高くなると思います。これは、ある税理士の方からきいたのですが、国税庁の統計では70%の中小企業が赤字であるものの、その税理士の方の顧問先のうち、月次決算を行い、毎月、それを基にして事業改善に取り組んでいる会社の70%は黒字になっているそうです。「月次決算を行うことが戦略なのか」と考える方も多いと思いますが、「月次単位で少しずつ事業を改善する」ということは、派手ではないものの、効果の高い戦略だと私は思っています。
よく、事業をよくしようと思ってもなかなか改善できないと経営者の方が悩んでいる会社はみかけるものの、一方で、やれるこはやり尽くしたという会社はほとんどないと、私は考えています。事業を発展させようというとき、やはり、多くの経営者の方は何か派手な戦略を実行しないとそれなりの成果が得られないと考えがちだと思います。そのような戦略は、経営資源に余力のある大きな会社は実践すべきと思いますが、経営資源に限りのある中小企業は、派手ではなくても、確実な戦略をとるべきと思います。
では、派手ではない戦略とは何かということですが、それは、前述のように、月次で事業を改善する方法ですが、さらにその手法を発展させていって、バランス・スコア・カードを導入するなどがあげられます。私が多くの経営者の方にバランス・スコア・カードをお薦めしている理由は、改善が確実に行われるからです。話をもどして、事業がなかなかうまくいかないという会社は、もっと地味な改善活動を検討することをお薦めします。その方が、即効性はないものの、確実に改善が進んでいきます。