先日、日本経済新聞に、銀行が融資審査を迅速化させているとい記事が載っていました。(ご参考→ https://s.nikkei.com/2y11SU8 )これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社から、融資の申し込みが増えていることへの対応であることは、言うまでもありません。融資の審査は、本来は、厳格に行うべきものですが、現在のような状況では、融資審査をしている間に、融資の申し込みをしてきた会社の資金が尽きて、事業を継続できなくなってしまえば、銀行の役割を果たすことができなくなってしまうので、迅速さが最優先されなければなりません。
これまで銀行は、収益力が低く、批判される状態が続いて来ましたが、現在は、独自の判断で適切な対応をしていることは、とても評価できると思います。一方で、残念ながら、政府の中小企業への救済施策は、これまで二転三転してきました。というのも、手続きを重視する官僚が判断に加わると、迅速性は後回しにされてしまい、本来の目的を見失ってしまうのでしょう。
これは、まさに、ドイツの社会学者、マックス・ウェーバーの提唱した、「官僚制組織」の弊害といえるでしょう。この官僚制組織は、官公庁に限らず、民間会社であっても、大きな組織にあてはまることがままあります。この官僚制組織は、すべての面において問題があるわけではなく、例えば、軍隊などは官僚制組織が向いています。ただ、過度に硬直化してしまうと、本来の役割を果たせなくなってしまうことは、前述の通りです。
繰り返しになりますが、現在の日本は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、経済的に大きな打撃を受けていますが、このような非常時は、強いリーダーシップのもと、難局を乗り切る柔軟な対応が求められています。だからこそ、このようなときの対応によって組織の善し悪しが現れるということを、改めて実感できます。さらに、これは、リーダーシップや組織の強さとはどういうことかということを考え直すよい機会にもなるでしょう。