鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

道徳の厳しい社会の弊害

作家の橘玲さんが、道徳についてブログに

書いておられました。


(ご参考→ https://bit.ly/2TIIzXR


要旨は、人類の祖先は、集団で生活するよ

うになると、「抜け駆け」する人が出ない

よう、お互いを監視するようになり、「ず

るをする人は悪い」という価値観、すなわ

ち、道徳を持つようになった。


特に、遊牧民族よりも、狭い土地にたくさ

んの人が住む農耕民族は、その道徳の度合

いが厳しい。


そのため、現在の日本は、欧米に比較して

道徳に厳しい社会になっているが、その結

果、薬物依存症の人は、社会に助けを求め

にくい環境にあるので、そのような人たち

は、増々、隠れて「不道徳」なことを続け

てしまう傾向にある、というものです。


この橘さんの考え方が、正しいかどうかは

別として、感覚的に理解できる人は多いと

思います。


私は、橘さんのブログを読んで、かつて私

が勤務していた、銀行のことを思い出しま

した。


銀行は、道徳の厳しい日本にあって、さら

に厳しい規律が求められていました。


それは、銀行は、他人のお金を扱う仕事を

していることから、信用を損なわないため

の当然の要求だと思います。


よく、「銀行は1円でも勘定が合わないと

帰ることができない」ということは、多く

の人に知られていますが、1円の違算を見

つけるために、何万円、何十万円もの残業

代がかかっても間違いを見つけるようにし

ているのは、銀行職員に対して、「もし、

不正をしたら、すぐに見つかるぞ」という

プレッシャーをかけている意味合いもある

と思います。


確かに、銀行の帳簿付けがルーズだったと

したら、銀行の不祥事は、もっと多発して

いるかもしれません。


その一方で、銀行職員に対しては、融通が

きかないというイメージを持っている人も

多いと思います。


それも事実であると私は思いますが、それ

は、前述のような規律の厳しい職場である

という面の表れだと思います。


ですから、信用を得なければならない銀行

職員は、厳しい規律を課せられていること

から、それは別の面から見れば、融通がき

かない人でもあるということです。


だからといって、私は、銀行以外の会社で

も、銀行職員のような規律を持たせるべき

ということを述べようとしている訳ではあ

りません。


銀行のような規則が多い会社は、銀行以外

の事業には向いていません。


私は、むしろ、一般的な会社は、なるべく

多くの権限を現場に委譲すべきだと考えて

います。


そこで問題となってくることは、現場の権

限が大きくなると、不正が起きる可能性も

高くなります。


そこで、一般的な会社では、従業員の方に

権限を与えながら、かつ、不正も置きにく

い仕組みをつくることが求められます。


その具体的な方法は割愛しますが、経営者

の重要な役割は、自社の事業に妥当な権限

の委譲はどの程度であるかを決めること、

そして、権限委譲にともなうリスクに対処

できる仕組みを作ることであると、私は考

えています。


例としては多くありませんが、部下に対し

て成果を求める一方で、あまり権限を与え

ないという経営者の方を見ることがありま

す。


そういう経営者の方は、部下に権限を与え

ることのリスクを分かっているのだと思い

ます。


そうであれば、部下に求める成果も限られ

る訳であり、自らは不正を防ぐ仕組みづく

りを避けておきながら、成果だけを求めて

も、事業はうまくいくことはありません。


話を橘さんのブログにもどすと、道徳の厳

しさは、よい面と悪い面の両面があり、そ

れが理解されていなければ、組織の目的も

達成することができないということが、今

回の記事の結論です。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200313130532j:plain