鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

会社が大きくなることに価値はない

ドラッカー研究の第一人者であった、経営

学者の上田惇生ものづくり大学元名誉教授

(故人)の、ダイヤモンドオンラインへの

寄稿を読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/2IHS5UL


ドラッカーは、著書、『乱気流時代の経

営』で、『市場が成長しているとき、ある

いは産業構造が変化しているとき、成長は

企業存続の条件である』と書いているよう

に、長期にわたる高度の成長は不可能であ

り、不健全である。(中略)


すなわち、成長を目標にすることは間違い

であって、大きくなること自体に価値はな

く、よい企業になることが正しい目標であ

る」と、上田氏は述べておられます。


私は、ドラッカーの考え方も、上田氏の考

え方も、必ずしも正確に理解しているわけ

ではありませんが、会社においては、適切

なマネジメントが行われるべきであり、そ

のマネジメントをおろそかにしては、売上

が増えたり、事業規模が大きくなっても、

評価されるべきではないということを、両

氏は述べているのだと思います。


このような考え方も、多くの方がご理解さ

れると思うのですが、その一方で、急成長

した会社があると、「あの会社はすごい」

と評価されることが多いようです。


ただ、急成長した会社は、そのまま成長を

続ける場合もあったり、事業が行き詰って

しまったりする場合もあるので、その違い

は、マネジメントの巧緻の差であると言え

ると思います。


そして、私は、マネジメントと事業の成長

に関しては、ソフィアバンク代表の藤沢久

美さんのポッドキャスト番組にご出演され

た、携帯電話販売代理店のベルパークの社

長、西川猛さんのお話を思い出します。


(ご参考→ https://bit.ly/2QcvsMr


西川さんが番組にご出演した当時(201

3年)は、同社は、208の店舗を運営し

ておられたそうですが、そのうち、3分の

2の店舗は、自社が直接開いた店舗ではな

く、M&Aの相手(1社ではなく、複数の

会社)が開いた店舗なのだそうです。


しかも、M&Aのときは、入札によって取

得したのではなく、先方から同社を譲渡先

として指名を受けて取得したそうです。


それは、譲渡元の会社のオーナーが、譲渡

価格が高いかどうかよりも、譲渡後の従業

員の処遇を最も気にかけていることから、

安心して譲渡できる会社として、同社を指

名してきたということです。


このような経緯を経て同社が成長してきた

ということは、同社が、単に、携帯電話の

代理店という事業を営むことによって成長

したわけではなく、従業員に関するマネジ

メントのが優れているからこそ、成長した

ということが分かる事例だと思います。


携帯電話代理店への参入は容易かもしれま

せんが、マネジメントは一朝一夕には十分

な成熟度に至ることは難しいものです。


もちろん、西川さんの会社は優れたマネジ

メントを実践しておられたので、同業者か

ら評価され、M&Aの譲渡先として指名さ

れるようになったのでしょう。


今回、マネジメントについて述べたのは、

マネジメントの大切さを理解している経営

者の方は多いと思うのですが、それにもか

かわらず、売上の多さや事業規模に先に目

が行ってしまう経営者の方が多いと感じて

いたからです。


私は、会社の成長そのものは否定されるべ

きものとは思っていませんが、ドラッカー

の指摘しているように、マネジメントが欠

けていたり、または、稚拙なままであった

りすれば、早晩、事業も行き詰まってしま

うので、成長の前に、マネジメントスキル

に注力することが大切であり、これが今回

の記事の結論です。

 

 

 

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