鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コベナンツは個人保証に代替できるか

先日、一橋大学経済研究所の植杉威一郎教

授が、ダイヤモンド社に、日本政策金融公

庫の個人保証を求めない融資について調査

した結果を寄稿していました。


(ご参考→ https://bit.ly/2REQcMt


記事によれば、日本政策金融公庫は、20

14年に、個人保証を求めない融資制度を

拡充した。


その融資制度を利用して融資を受ける会社

は、融資決定後に、従来通りに個人保証を

求め、融資利率も従来と同じで、財務制限

条項(コベナンツ)を付けないという条件

と、個人保証は求めず、融資利率は(個人

保証がない分)上乗せし、コベナンツをつ

けるという条件を選べる。


この場合、自社の将来の業績に自信がない

会社は、個人保証を回避したいと考え、後

者の条件を選ぶと予想できる。


しかし、実際は、自社の将来に自信がある

会社の方が、個人保証を求められない後者

の条件を選ぶ傾向にあった、ということで

した。


ちなみに、同公庫のこの融資制度のコベナ

ンツとは、融資を受けた後に会社が債務超

過に陥った場合は、融資の繰上返済や融資

利率引上などのペナルティが課されるとい

うもののようです。


この記事から分かることは、業績のよい会

社はコストがかかっても、個人保証のリス

クを回避しようとし、業績のあまりよくな

い会社は個人保証のリスクよりも、融資利

率の低さを求めるということです。


すなわち、業績のよい会社は、銀行からの

融資の条件を有利にすることができるとい

うことがわかります。


これは、円滑な資金調達の最善の方法は、

自社の業績を高めることであるということ

の証左のひとつでしょう。


ところで、植杉さんは、「新たに導入され

た貸出手法を参考にしつつ、民間銀行が個

人保証に依存しない貸出を積極的に推進す

ることが期待される」と述べておられます

が、私は、現状では、個人保証に依存しな

い融資は増えないと考えています。


その理由は、個人保証に依存しない融資が

増えない要因は、融資手法ではなく、主に

融資を受ける側にあると考えられるからで

す。


すなわち、経営者保証ガイドラインで融資

を受ける会社側に求められている要件は、

(1)会社と経営者の間で資産を明確に区

分する、(2)会社の業績を向上させる、

(3)会社の財務状況について適宜情報を

開示し透明性を高める、の3点ですが、特

に(3)を実践している会社が少ないから

です。


もちろん、銀行側にも個人保証に依存しな

い融資を増やすための努力が求められます

が、融資を受ける側の状態が、「家業」か

それと同じような状態のままであれば、個

人保証を条件としない融資を行うことは困

難でしょう。


ちなみに、植杉さんは、同公庫のコベナン

ツについて、「個人保証が果たしていた経

営者に対する規律付けの機能は、保証がな

くても、債務超過に対してペナルティを課

コベナンツによって果たされることにな

る」と述べておられますが、このような一

定の効果があることは注目すべきことであ

ると、私も考えています。

 

 

 

 

 

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