鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資を受けられない会社が増加する?

[要旨]

金融庁の監督指針の変更により、経営者保証を条件を条件とする場合に説明をすることが義務化されると、ある程度は、経営者保証を条件としない融資は増えると思われます。しかし、経営者保証ガイドラインで示されている、経営者保証を求めない要件を満たしていない会社には、銀行からみると、融資には積極的に応じにくくなっていくものと考えられます。


[本文]

前回は、金郵庁が、監督指針を変更し、2023年から、中小企業に融資をする条件として経営者を連帯保証人にする場合、その理由を説明する義務を課すことで、経営者保証に依存しない融資をさらに増やそうとしているが、その指針変更は、金融庁が実態をよく把握しないで行ったものであり、結果として金融庁の思惑はうまく運ばないだろうというという私の見解を述べました。

では、監督指針の変更が行われても、まったく何も変わらないのかというと、私は、銀行が金融庁の意図を忖度し、ある程度は経営者保証のない融資を増やすと思いますが、それは限定的になると考えています。むしろ、業績があまりよくない会社に対しては、経営者保証を条件とする融資を増やしたくないとの思惑から、取引を縮小しようとする方針が強まるのではないかと思います。

したがって、中小企業は、融資を受けることができる会社と、融資を受けることが困難な会社に、ますます鮮明に分かれていくのではないかと思います。これを、別の言い方をすると、経営者保証ガイドラインで示されている、経営者保証を求めない要件の、(1)会社と経営者の資産が区別されている、(2)会社の業績が良好である、(3)会社の財務状況について、適宜、情報開示が行われいる、という3つが満たされていないと、経営者保証を条件としなければ、ますます、融資に応じてもらうことが難しくなるということです。

もし、この私の予想が正しければ、金融庁の監督指針の変更は、融資を受けることができない会社を増やしてしまうということになるでしょう。しかし、私も、銀行が経営者保証に依存しない融資を増やすことは望ましいことと考えています。ただし、残念ながら、それを増やすことは銀行の努力だけでは限界があると考えています。

2022/11/15 No.2162