鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

おかしな役職の弊害

9月に、スルガ銀行の不祥事に関し、第三

者委員会の調査報告書が公表されました。


(ご参考→ https://goo.gl/6GHsMa


この中で、同社の不祥事に直接は関係がな

いことなのですが、気になる点があったの

で、それに関する私の考えを述べたいと思

います。


まず、気になる点とは、報告書の219

ページの記載です。


スルガ銀行では、Co-COOという地

位があり、2015年にA氏がCo-CO

Oが就任した。


A氏より上位の役員としては、2015年

時点でも、8名の社内取締役があり、A氏

は取締役ですらない。


しかし、世の中的にはCOOといえば、社

長格の役職と認識されている。


そのため、関係者の証言によれば、COO

となったことで事業部門のトップであると

認識され、社内での発言力も高まり、上位

者である役付取締役らも、事業の責任者と

して尊重せざるを得ない雰囲気を感じた者

もいる。


これがA氏の行き過ぎと、上位者による監

督の弱体化に繋がった可能性がある」


COOとはすでに多くの方がご存知のよう

に、最高執行責任者のことで、他の会社で

も社長がCOOに就いている例が多くあり

ます。


ただ、Co-COOという役職は、私も同

行以外ではそのような肩書を見たことがな

く、詳しいことは分からないのですが、共

最高執行責任者という意味のようです。


すなわち、社長代行のような肩書というこ

とでしょう。


ところが、前述のA氏は取締役ではないの

に、Co-COOの肩書によって社長代行

のようになってしまい、それが、A氏の上

席の取締役さえA氏に逆らうことができな

い状況になってしまったということを、調

査報告書で指摘されているのでしょう。


ちなみに、報告書でも、Co-COOとい

う紛らわしい肩書は廃止すべきと述べられ

ています。


なお、A氏は、今回の同行の不祥事の主導

的立場にあった執行役員(当時)です。


ところで、スルガ銀行では、不祥事の当事

者がおかしな肩書をつけていたことで、ま

すます組織の自浄機能が働かなくなること

になったのですが、他の会社でも「代表取

締役相談役」や「代表取締役名誉会長」な

ど、おかしな肩書を持った人が存在してい

たこともあります。


そのような、おかしな肩書を持つ人がいれ

ば、本物の代表取締役社長は、スルガ銀行

の取締役のように気兼ねして、きちんとし

た役割を果たすことができなくなる恐れが

あります。


とはいえ、表の顔を変えたいが、かといっ

て、これまで功績のあった人をないがしろ

にもできないという事情もあり、そのよう

な状況のもと、妥協によって、変な肩書を

持つ人が現れることになるのでしょう。


こういった点は、私は、日本の悪い慣習だ

と思います。


このような状況を直ちに変えることは難し

いとは思いますが、肩書と、その人が持つ

実際の権限をそろえる(言いかえれば、社

長でない人はいさぎよく無役になって、権

限も手放す)ことは、特に、スルガ銀行

例を見て大切だと私は考えています。

 

 

 

 

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