いわゆるオーナー会社でも、能力のある従
業員の方が、取締役として選任されること
は珍しくありません。
それは、社長(=オーナー)が、自社の事
業により尽くしてもらいたい、経営者とし
ての想いを共有してもらいたいといった意
図があるからだと思います。
社長がこのように考えることは当然と思い
ます。
ただ、やはり、オーナー会社は株主が限定
されていることから、その取締役は上場会
社の取締役と比較して、立場が異なると言
えるでしょう。
上場会社は、株主総会が形式的になってい
る場合もありますが、それでも取締役は多
くの株主に委任を受けて就任しています。
一方、オーナー会社は、社長とオーナーが
同一人物、すなわち、社長の意見=株主の
意見であることから、「株主の委任を受け
る」という手続きは、実態としてはあまり
意味はなく、「取締役」という名目的な肩
書だけを与えていることになります。
これを言い換えると、取締役は株主から委
任を受けて業務執行、監督を行うので、時
には社長を含む他の取締役を牽制する役割
がありますが、オーナー会社の社長以外の
取締役は、社長を牽制することはできませ
ん。
では、オーナー会社では、従業員を取締役
に選任する意味はないのかというと、私は
そうではないと思っています。
例えば、「丸見え経営」で有名な、メガネ
販売店の株式会社21では、従業員全員に
経営情報を公開し、経営を監視する役割、
すなわち、取締役と同じような権限を与え
ています。
(ご参考→ https://goo.gl/5s9n9k )
私も、この会社と同様の施策を、他の会社
が実践することは、直ちには困難だと思い
ますが、従業員に対して「会社に尽くして
もらいたい」、「経営者の想いを共有して
もらいたい」と考えるのであれば、それに
見合う役割を与えることで、実現できると
考えています。
すなわち、将来の幹部候補生に「取締役」
という肩書だけではなく、きちんとした役
割も与える必要があるということです。
ここで、「そのような役割を務めることが
できる人材は社内にいない」とお考えの経
営者の方もいると思いますが、それを育成
する役割を担うべき人は誰かということは
すぐに分かると思います。
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