私が、かつて、ある社会保険労務士の方に
「社会保険労務士になるには、合格率が5
%前後の難しい試験に合格しなければなら
ないんですよね」と質問ししたところ、
「確かに試験の合格率は表面的には5%程
度かもしれませんが、受験者の中にはあま
り勉強せずに、単に経験するためだけに受
験する人も相当いるので、ちゃんと勉強し
た人だけで計算した実質的な合格率はもっ
と高いと思います」と返答されたことがあ
ります。
私は、この方の指摘がどれほど正しいかは
分からないのですが、多少はそういう面は
あると思います。
ところで、「%」の話になると、私は、起
業して10年後に生存している会社の割合
のことを思い浮かべます。
すなわち、「起業して10年後に生き残っ
ている会社は30%」ということを、よく
耳にします。
とはいえ、この30%という数値の根拠を
探しても、なかなか見つかりません。
中小企業白書2017年版のコラム2-1
-2には、起業後5年までの生存率のグラ
フが載っていますが、これによれば、5年
後の生存率は、81.7%と、結構、高い
数値になっています。
(ご参考→ https://goo.gl/2iPEVs )
仮に、生存率が6年目以降は毎年5%ずつ
下がって行くとすれば、10年後の生存率
は55%くらいと推測できるでしょう。
では、10年後の生存率が、仮に、30%
や55%として、これがどうなのかという
と、私の肌間隔では低いと思っています。
というのは、会社経営の定石を踏んでいる
会社は、もっと長い期間、事業を続けてい
るからです。
これを言い換えれば、成り行きで事業を営
んでいたり、自己流で事業を営んでいる会
社は、当然のことながら、生存率は高くあ
りません。
客観的な根拠は示すことはできませんが、
きちんと体制を整えている会社は、そう簡
単に廃業や倒産することはありません。
すなわち、冒頭で、社会保険労務士の試験
で、きちんと勉強している人だけで見れば
合格率が高くなるということと同様に、起
業も、定石を踏んでいる会社だけで見れば
生存率は高いということが、今回の記事の
結論です。
もちろん、起業する人は、自分の思い通り
の事業展開をしたいから起業するのだと思
いますが、マネジメントスキルが備わって
いない方については、スキルが高くなるま
では、経験を積むことに専念すべきと私は
考えています。
※この記事はメールマガジンでも配信して
います。ぜひ、ご登録ください。→
http://yuushi-zaimu.net/conference/