鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リースに関する誤解

私の著書に、「図解でわかるリースの実務

いちばん最初に読む本」という本があるこ

とから、私に対してはリースに関するご質

問も寄せられることが多いのですが、その

中で、何人かの方から、誤解が前提となっ

てご質問をしておられるということがあっ

たので、今回はそのご質問について触れた

いと思います。


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誤解が前提となっているご質問というの

は、「リース物件は賃借物件なので、リー

スをたくさん使うと、リース物件の管理や

維持のための手間が増えてしまわないか」

というものです。


この質問に対する回答を述べる前に、どの

ようなことを誤解しているのかということ

について述べたいと思います。


リース契約は、日本では、法的には賃貸借

契約であり、リース物件も賃借物です。


しかし、同じ賃貸借であるレンタルとは、

次のような点で異なります。


(1)リース物件は、ユーザーが指定した

ものに対してリース会社がサプライヤー

代金を支払った後、サプライヤーからユー

ザーへ直接納品されること。


(2)リース物件の購入代金と、金利・手

数料相当額の全額は、リースユーザーがす

べて単独でリース料として負担すること。


(3)リース契約は、中途解約ができない

こと。


リースには、このような特徴があることか

ら、法的には賃貸借契約であっても、経済

的な効果は、リース物件相当額をリース会

社がユーザーに融資したことと同じことに

なります。


そのため、リース会計基準では、リースに

よってリース物件を調達したときは、リー

ス物件相当額を自社の資産として計上する

こととなっています。


このように、リース物件は、銀行から融資

を受けて設備を購入したときと、実質的に

は変わらないので、リース物件も自社物件

と同等のものと考えても問題ないというこ

とです。


そして、前述のご質問者の方が誤解をして

いるというのは、融資を受けて設備を調達

したときよりも、リースによって設備を調

達したときの方が、手間が大きいというこ

とです。


確かに、自己資金であれ、融資であれ、

リースであれ、どのような手段で設備を調

達しても、その設備がきちんと存在してい

るかということは、会社の決算日には確認

を行う必要があるし、設備を使っているう

ちに、故障の修理をしたりメンテナンスを

行うという手間は発生します。


しかし、それが、自己資金や融資によって

調達したときよりも、リースで調達したと

きの方が、手間が大きくなることはありま

せん。


これが、前述の質問への回答です。


確かに、リース契約は、法的には賃貸借契

約であるのに、会計上は融資を受けて購入

したものとして処理されるために、わかり

にいという面はあります。


ただ、法的に賃貸借契約であるということ

以外は、自社で購入した場合と同じと考え

ていただいて問題ありません。


このように述べると、融資ではなく、リー

スを利用するメリットは何なのかという疑

問を持たれる方もいらっしゃると思います

が、それは、ぜひ、好評により4回の版を

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お読みいただいて解決していただければと

思います。

 

 

 

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