鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

すぐに効果のある売上増加法

先日、ある社会保険労務士の方とお話をし

ていたのですが、その時、その方の顧問先

の多くから、社会保険労務士の専門分野で

ないにもかかわらず、「なにか、すぐに効

果のある売上増加法はないか」とよくきか

れるというお話をされました。


ちなみに、その方は、自分の専門分野では

ないことをむやみに回答することは責任を

もてなくなるので、顧問先の経営者の方の

悩みをきくだけにとどめているということ

でした。


「すぐに効果のある売上増加法」というの

は、業績があまりよくない会社にとっては

さまざまな課題が一気に解決するので、ぜ

ひ知りたいというものでしょう。


しかし、理由はそれだけではないと私は考

えています。


それは、経営者の方の課題がなくなるとい

うことです。


このように書くと、「経営者なんだから、

楽して会社を良くしようとすることはけし

からん」と批判しているように感じられる

かもしれません。


実は、「すぐに効果のある売上増加法」と

いうものをきいたとき、私は、私の経験で

別の経営者の方からきいたある言葉を思い

だしました。


それは、「銀行が融資をしてくれさえすれ

ばなんとかなるんだけれど」という言葉で

す。


これは、数日後に迫っている支払日を迎え

て手元のお金が足りないようなときに、経

営者の方が口にする言葉です。


そして、「すぐに効果のある売上増加法」

と、「銀行が融資をすればなんとかなる」

の共通点は、短期的な視点で出てくるもの

です。


経営者が短期的な視点に偏って事業運営を

するこは避けるべきですが、それだけでは

なく、ふたつの言葉とも、他者に依存的で

あるということです。


仮に、すぐに売上を増やす方法が見つかっ

たとしても、恐らくそのような方法は、ほ

かの会社もすでに実践していたり、または

あとから真似されたりして、間もなく効果

がなくなるでしょう。


支払代金が不足している会社は、仮に、そ

の不足する金額の融資を受けられたとして

も、1か月~3か月後には、また、同じ悩

みを持つことでしょう。


さらにその時は、もっと融資を受けにくい

状態になっているでしょう。


確かに、他社に真似されなく、かつ、ずっ

と効果のある売上増加法というものはない

かもしれませんが、本来は、経営者自らが

競争力のある商品や製品を開発することが

事業の基本でしょう。


資金不足についても、成り行きで事業運営

をしているために、慢性的に資金不足が続

いているのであれば、会社の事業は不安定

であり、早晩淘汰されてしまうしょう。


競争力のある製品開発を自ら行うことは、

「言うは易く行うは難し」ですが、それが

本来の経営者の課題であり、それなしには

会社を経営する意義は薄いと私は考えてい

ます。


むしろ、そのような課題に正面から取り組

むことに、会社経営の醍醐味があるのでは

ないでしょうか?

 

 

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