ウス投資家向けの融資で不正を行ったこと
が問題になっています。
(詳細は、こちらをご参照ください。→
これについては、具体的な事実の詳細はま
だ分かりませんが、単純に、コンプライア
ンス違反であり、それ以上の議論はあまり
意味がないでしょう。
ただ、このような事件を起こした会社はど
うなるのかということは注視すべきだと、
私は考えています。
この事件によって、当該銀行は損失を被る
ことは確実です。
ただ、問題となった融資額は約1,000
億円であり、仮にこれらがすべて回収不能
となったとしても、融資総額が3.1兆
円、預金総額が3.9兆円の銀行の規模か
ら勘案すれば、直ちに経営が行き詰るとは
考えにくいと私は思います。
しかし、問題が明るみになったことによっ
て、その銀行の現在の株価は、今年の株価
の最高値の約半分にまで急落しています。
また、一部には、経営が行き詰るのではな
いかという報道もあります。
これは、100%断言することは困難です
が、私は、この不正融資そのものの損失で
は当該銀行は経営が行き詰るとは思えない
ものの、風評などが大きくなることで、不
正をした融資以外の事業に影響すれば、経
営が行き詰ることもあるかもしれないと考
えています。
要は、これも多くの方が同様に考えておら
れることですが、会社は(特に銀行は)信
用が大切であり、それが失われると、会社
の存在そのものが危ぶまれることになると
いうことです。
ところで、法令違反の影響については、銀
行の融資審査においても同様のことが起き
ます。
例えば、法令違反をした会社が、当局に
よって事業停止命令を受けた場合などは、
業績に大きな悪影響を受けることになるの
で、これは容易に理解できるでしょう。
ましてや、中小企業の場合、大企業と比較
して事業基盤が小さいため、影響の度合い
はより深刻となることは理解に難くないで
しょう。
ただ、このような法令違反によって信用を
失うことについては、法令を守れば防ぐこ
とができるので、どうすればよいかという
ことを議論するまでもないでしょう。
しかし、真面目に事業に取り組んでいても
信用を失ってしまうこともあります。
それは、顧客、ライバル、仕入先、従業員
などに訴えられてしまうことです。
会社としては、積極的に法令違反をしよう
としていなくても、業績を伸ばすために、
違反にならないぎりぎりのところで事業活
動をしていた結果、他者からはそれが法令
違反と解釈され、訴えられてしまうことが
あります。
不幸にもそのようなことが起きてしまう
と、銀行側も将来起きるであろう損失を読
み切ることができないことから、融資には
慎重になります。
ここで、会社の営む事業は常にあらゆるリ
スクにさらされているために、他者から訴
えられるというリスクも、そのひとつに過
ぎないということができるでしょう。
ただ、法令違反については、民間会社で
あっても、広く社会から清廉さを求めると
いう傾向が年々強まっているため、わずか
な法令違反であっても、大きな損失につな
がってしまいかねないということに注意し
なければならないでしょう。
詳細な説明は割愛しますが、法令違反が起
きた会社では、多くの場合、最終的にその
会社を支えるのは銀行ということになりま
す。
このような面からも、ピンチになってから
銀行に相談に行くということでなく、普段
から銀行と頻繁に接触し、自社の業況や方
針を伝えておくことは有用でしょう。
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