鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

チェンジモンスター

ボストンコンサルティンググループの上級

副社長のジーニー・ダックの著書、「チェ

ンジモンスター-なぜ改革は挫折してしま

うのか?」( https://amzn.to/2wA8d7K )

を読みました。


本の内容としては、著者の経験を通して得

られた、リーダーとしての組織の変革をど

う推進していくかにかかわる手法とノウハ

ウが紹介されています。


そして、タイトルにある、チェンジモンス

ターとは、ことばとしては変革をかき乱す

怪獣という意味ですが、具体的には、人間

的・感情的なものから生まれる変革に対す

る「阻害要因」です。


この阻害要因であるチェンジモンスターに

ついては、同書の補論に書かれている、日

本に現れるチェンジモンスターについて見

てみると、より理解しやすいと思います。


●タコツボドン:自分のたこつぼに閉じこ

もり、他の人とかかわろうとしない。「う

ちの部署とは関係ない」「ご忠告はありが

たいが、後はこちらにお任せください」と

叫ぶ。


●ウチムキング:社内での評価にだけ関心

があり、顧客など、社外からの評価には目

を閉ざす。「社長!社内での反応は上々で

すので、このままでうまくいきます!」と

叫ぶ。


●カコボウレイ:かつての経営者が手がけ

た事業にとらわれ、業績が悪くても撤退に

関する議論や撤退の決断ができない。「先

代会長が手塩にかけた事業を君はどうしよ

うというのか?」と叫ぶ。


●ミザル・キカザル・イワザル:変革のた

めの活動が行われようとしていても、首を

すくめてやり過ごそうとする。「どうせ、

今回もまたかけ声だけだ。動くだけ損する

に決まっている」と叫ぶ。


●ノラクラ:言い訳をして変革を回避しよ

うとする。「前例はないし、組合がウンと

いわないだろう。それに忙しくて人手も足

りない」と叫ぶ。


●マンテン:100点の報告書がないと動

き出せず、具体的なアクションをとれない

か、遅れてしかとれない。「またデータ不

足だ。もう少しじっくり検討すべきだ」と

叫ぶ。


●カイケツゼロ:できない理由の説明は巧

みだが、解決策の提言は出せない。「それ

は何度も検討しましたが無理のようです。

その理由は5つあって…」と叫ぶ。


そして、この本は、これらのモンスターを

退治するためノウハウが書かれているので

すが、モンスターたちはかなりの強敵で、

特効薬のようなものは無いようです。


ひたすら、改善策を明確に示し、飴と鞭で

根気よく変革を促すことが基本のようで

す。


ただ、この本の主旨とは少し外れるのです

が、気になったことがかかれている部分が

ありました。


「これまで、日本の会社が変化の必要性に

迫られたのは、業績が傾き、危機的な状況

に瀕してから、メインバンクなどから送り

込まれた再建請負人が、会社の生き残りや

雇用確保のために、コストダウンや合理化

を徹底して進めるという状況だけだった。


しかし、今後、日本の会社に変化が必要と

される状況とは、業況がよいうちに、経営

トップが株主の要請に基づいて、より高い

株主価値を創造できる、より強い会社に変

革するために、業態転換や再編成を大胆に

進めるめることができる状況だ」(327

ページ)


ひとことで言えば、会社が倒れそうになっ

たときに変わろうとしても遅くて、変わる

ことができるエネルギーがあるうちに変わ

らなければならないということです。


これも当たり前のことを述べているように

思えますが、私もコンサルタントをしてい

て、事業改善の依頼を受けるとき、どうし

てもっと早い段階で相談してくれなかった

のだろうと思う時がままあり、著者が訴え

ていることにとても共感します。


これは、日本の会社では、倒産しなければ

いいという低い目標しか持たない会社が多

いからだと思います。


会社は、本当は、強い存在でなければなら

ないと考えれば、そこそこの利益が得られ

ている状況で満足せず、より、高いところ

を目指すべきなのでしょう。

 

 

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