鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資取引は商行為

以前、融資審査を「手続き」、すなわち、

書類上の要件を満たすだけで融資を受ける

ことができるという、事実と異なる認識を

している方がいるということを記事に書き

ましたが、依然としてそのような認識をし

ていらっしゃる方がいるようですので、再

度、別の観点から述べたいと思います。


(ご参考→ https://bit.ly/2Mo4C4r


会社を運営していると、様々な手続きが必

要になります。


会社を設立した時は登記手続きがあり、従

業員を雇用した時は社会保険の加入手続き

などがあります。


中には、助成金を受け取るために、その申

請を手続きをした会社も多いと思います。


このように、会社を運営する際には多くの

手続きが行われるので、融資についても同

様と考えてしまう方もいるのではないかと

思います。


でも、銀行との融資取引は、法令などに基

づいて行われる行政機関への申請手続きで

はなく、あくまで商取引です。


(信用金庫は、商法で規定する「商行為を

行う商人」ではありませんが、実質的には

銀行と同じように融資によって商行為をし

ていると考えることができます)

 

すなわち、融資取引は商行為ですので、銀

行の意思で取引を拒むことができるという

点が、法令に基づいて手続きが進められる

行政とは大きく異なります。


したがって、融資申請は手続きと考えてし

まうと、希望通りに融資を受けにくくなっ

てしまいかねません。


それでも、融資申請を手続きと考えてしま

う経営者の方がいるのは、自らの事業も手

続きと考えてしまっているのかもしれない

と、私は考えています。


例えば、自社の商品が売れるのは、自社が

店頭に商品を陳列したからであって、商品

の魅力が大きかったり、他社商品と比較し

て優れていると考えられているからとは考

えていないのかもしれません。


融資の承認が得られるのも、融資を申請し

てきた会社に将来性があると銀行が判断し

ているからであって、書類上の要件だけで

判断しているわけではないのですが、そう

いった、なぜ商取引が行われるのかという

点を理解していない人が事業を始めると、

事業のすべてが手続きで行われると考えて

しまうのではないかと、私は分析していま

す。


もちろん、そのような経営者の経営する会

社は、事業を進める上での課題の解決がな

かなか進まず、早晩行き詰ってしまうと思

います。

 

  

 

 

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