人材コンサルタントで、「会社人生で必要
な知恵はすべてマグロ船で学んだ」などの
ご著書で有名な齊藤正明さんのご著書、
「『自己啓発』は私を啓発しない」
( https://amzn.to/2wAOPYe )を拝読しま
した。
同書は、自己啓発セミナー・教材に600
万円以上をつぎ込んだ齊藤さんの経験をも
とに、どのように自らの能力を磨くべきか
とうことが書かれています。
結論としては、自己啓発セミナーなどは、
答えを教えてくれるものという前提で受講
するのではなく、他者の成功事例として聴
くべきであり、原則的に自分の能力を高め
るには、セミナーなどできいたことを、自
分にどうあてはめるかという姿勢がなけれ
ばならないということです。
ところで、齊藤さんが高額セミナーなどを
たくさん受講してきた理由は、独立して活
躍できるようにするための能力を身に着け
ようとしたからでした。
そして、たくさんの高額セミナーを受講し
てきた結果、齊藤さんが感じたことは、
「希望にあふれている時代が起業家を苦し
めている」ということだそうです。
すなわち、「インターネットがあれば、無
名でもお金がなくても全世界に自分自身や
自社の商品を売り込むことができるので、
一気に人生を逆転できる希望にあふれる時
代だ」と煽る「起業支援家」」はいるもの
の、結果として、トップになれる人は本の
一握りだということです。
これは、悲観的な意味ではなく、例えば、
プロ野球チームで、優秀な選手を集めた球
団が、実際に4番やエースとして活躍する
選手は数名になることが現実であり、社会
はそういう仕組みになっているという意味
だそうです。
もう少し、別の言い方をすれば、自称「起
業支援家」は、そのような事実を分かって
いて、人生の一発逆転を狙う人を食い物に
しているということでしょう。
とはいえ、良心的でない「起業支援家」を
批判することが本旨ではなく、「希望にあ
ふれる時代」は、自分の人生に期待する人
が増える分、結果として夢がかなわない人
を増やし、自分は不幸だと感じる人を大量
生産してしまうということを、齊藤さんは
ご指摘しておられると思います。
そのため、自分がヒーローのように活躍で
きないとしても、それだけで不幸と考える
のではなく、「きょうはお客さまからほめ
てもらえた」「試しにはいったらーめん屋
さんのらーめんがおいしかった」「きょう
は雨が降らなかった」という、小さい幸せ
に目を向けて自分を不幸に落とし込まない
ことが大切だと齊藤さんは述べておられま
す。
この齊藤さんの考え方が必ずしも100%
正しいとは限らないと思いますが、私の考
えは齊藤さんと近いものです。
話がそれますが、よく、創業にあたって、
銀行からの融資をどうやって受けるかとい
う相談を私も受けることがありますが、
「人生の一発逆転を狙う」あまり、リスク
の高い事業に挑もうとし、結果として融資
を受けられなくなるということが少なくあ
りません。
このような例に遭うとき、私は、リスクの
高い事業に挑むことが間違っているという
ことではなく、銀行から融資を受けようと
することが間違っていると思っています。
その理由は、事業が成功する確率が低いか
らということではなく、銀行の融資利率は
高くても5%程度であるのに、リスクの高
い事業に対する融資の申し込みをすること
は、バランスが取れないということです。
一方で、リスクの高い事業に金融的な支援
をする機関として、ベンチャーキャピタル
があります。
私は、必ずしもリスクの高い事業に挑むこ
とが問題だとは思っていませんので、自分
の始めようとする事業に自信のある方は、
ベンチャーキャピタルの利用が適している
と思います。
ただ、ベンチャーキャピタルを説得するに
は、銀行の何倍もの資料や労力が必要にな
ります。
仮に、それを避けたいから、銀行から融資
を受けたいという人がいるとすれば、それ
はご都合主義ということになるでしょう。
話を戻して、今回の記事の結論は、真に自
らの能力を高めたいのであれば、セミナー
に依存するのではなく、自ら学ぼうとする
姿勢が欠かせないということです。
逆に、「高額セミナーを受講すれば人生を
逆転する」という依存的な考え方をしてい
ると、成功からより遠ざかってしまうこと
になるでしょう。
最後に、齊藤さんは、人生やビジネスでの
学びの場面は、セミナールームだけではな
く、日常で起きたことすべてが学びの種に
なるとして、次のような助言をしておられ
ます。
「何かを試し、うまくいったら自分の成功
パターンのひとつとして記憶する。
失敗したら違うやり方をして、成功を目指
す。
優れた人がいたら嫉妬せず、真似できると
ころは真似する。
嫌な人がいたら、反面教師として活かす」
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