今回は、私の失敗経験を書きます。
私が銀行の渉外係をしていたとき、ある、
サービス業の会社を担当していました。
その会社の社長は、隣の県の出身の方でし
たが、その出身地が、私が勤めている銀行
の地元でもあったこと、また、社長ご自身
も、高校をご卒業後、いったん都市銀行に
入社されてから独立されたご経歴があった
ことから、銀行職員であった私には親切に
してくださいました。
会社の業況は決して順風満帆とは言えない
ものの、自己資本比率が30%以上であっ
たこともあり、融資をする側としても安心
して融資することができる会社でした。
そこで、銀行の決算期(3月・9月)が近
づくと、その社長のところへ行って、「今
期の目標達成のために、今回もお金を借り
ていただけませんか?」と融資のセールス
をしていました。
そのたびに、社長には融資申し込みに応じ
ていただき、私にとってとても助かる存在
でした。
ところが、あるとき、融資セールスに行っ
たところ、その社長からは「今回は、G銀
行(私が勤務していた銀行のライバルの銀
行)にお願いした」と回答されました。
その理由は、「お宅の銀行は、うちに融資
をしてくれるけれど、いつも、信用保証協
会の保証をつけているので、うちの会社の
ことはもう評価してくれていないのだと思
い、それでG銀行にプロパー融資をお願い
した」というものです。
実は、銀行の融資目標は、一般の融資の目
標もあるものの、信用保証協会の保証のつ
いた融資の方が評価が高いので、この会社
には信用保証協会の保証をつけてもらって
いました。
もちろん、融資のときに信用保証協会の保
証を利用すると、利息のほかに信用保証料
をお客さまに負担していただくことになる
のですが、その社長の会社には、低利の制
度融資を利用して、トータルであまりご負
担をかけないようにしていました。
ただ、その社長がなぜ私の融資セールスに
応じてくれていたかというと、自分の会社
を支援してくれるかどうかを確認したかっ
たのだと思います。
だから、自社の融資に信用保証協会の保証
がつけられてばかりいると、「自分の会社
は評価が低いのかな?」と疑問を感じるこ
とになってしまったのだと思います。
以上が、顧客の本当のニーズを理解せずに
セールスをしていた、20代の私の苦い失
敗経験でした。
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