鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

多面的に考える

今回も、当たりまえのことなのですが、と

ても共感したお話を聴いたので、ご紹介し

たいと思います。


久留米大学商学部の塚崎公義教授が、ポッ

ドキャストで次のようなことをお話されて

おられました。


(ご参考→ https://goo.gl/cqXq4e


ひとつめは、起業して成功した人の話を大

学生が聴くときは注意が必要というもので

す。


すなわち、「会社を作って大金持ちになっ

た人は、『サラリーマンなんてバカバカし

いので、会社を作って大金持ちになろう』

と言う話をするが、そもそも事業に失敗し

た人はマスコミに登場しない。


そこで、大学生は成功した人の話だけを聴

いて、『自分も会社を作れば大金持ちにな

れる』と考えてしまう可能性がある。


しかし、夢を追うにはリスクが伴うという

ことを正しく認識して、それでも自分は夢

を追うのだと決心するのであれば良いが、

リスクがあることに気付かずに起業してし

まうことは好ましくない」、というもので

す。


私も、「起業熱」にかかっている人をたく

さん見てきたので、この塚崎先生のご忠告

は、「そうそう!」とうなづいてしまいま

した。


とはいえ、これはおまけの話で、本題は次

の部分です。


「経済に詳しくない政治家がいて、彼の所

に、地元の高齢者が陳情に来た。


高齢者たちから『金利が低くて収入が減っ

たので、金利を上げて欲しい」と陳情さ

れ、彼は記者会見で『金利が低すぎるのは

好ましくない』と発言した。


ところが、その記者会見を聴いた中小企業

経営者から、逆に、『金利が低いから中小

企業が助かっている。


金利が上がったら、我々は倒産だ』と抗議

を受けた」というものです。


これにも、私には「そうそう!」と感じま

した。


というのは、かつて、私が銀行で働いてい

たとき、住宅ローンの金利が10%を超え

る時があり、その時、報道機関からは、

「毎月、まじめに働いているサラリーマン

が、いくら住宅ローンの返済をしても、金

利が高いので、なかなかローン残高が減ら

ない」というような批判的な記事を書いて

いました。


しかし、現在の超低金利時代には、「銀行

に預金をしても、ATMの時間外利用手数

料程度の金利もつかない」と批判されてい

ます。


もちろん、報道機関の記事は、批判的な内

容であると売れるので、批判的な記事が多

いということは理解しています。


話を本題に戻します。


塚崎先生のお話の趣旨は、現状に不満な人

は声をあげるけれども、満足している人は

黙っているので、聞こえてくる声だけで判

断をしてはいけないということです。


これも、「そんなことわかっている」と言

われてしまいそうなことですが、忙しい経

営者の方は、耳に入った情報だけで判断し

てしまいがちです。


多くの経営者の方は、このようなことに注

意していると思いますが、徐々に耳触りが

良い声だけに耳を傾けるようになり、いつ

しか裸の王さまになってしまっているとい

う人が現れることもあります。


私自身も自戒をこめて注意したいと思いま

した。

 

 

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