先日、エグゼクティブコーチの秋山ジョー
賢司さんのポッドキャスト番組を聴きまし
た。
(ご参考→ https://goo.gl/QG5SZS )
秋山さんは、その番組の中で、本田宗一郎
さんの「私は、たえず喜びを求めながら生
きている。
そのための苦労には精一杯に耐える努力を
惜しまない」という格言について解説して
おられました。
すなわち、「この格言は、一見すると、喜
びは苦労することによって得られるという
ことを言っていると理解する人が多いだろ
う。
ただ、自分(秋山さん)は、本田さんに
とって『苦労には精一杯に耐える努力』そ
のものが喜びあり、その喜びを求めながら
生きているということを、本田さんは伝え
ようとしていると解釈している」とお話し
されておられました。
これをひとことで言えば、「苦労を喜びに
変える」ということなのですが、実は、こ
れも正確ではないと私は考えています。
すなわち、苦労は喜びの反対側にあるもの
ではなく、苦労することが喜びであるとい
うことです。
これでも少しわかりにくいので、さらに別
の表現にすると、苦労することは自分を高
めることと考えれば、苦労は喜ぶべきもの
になるということです。
ところで、今回の記事は、苦労することは
大切なことだから、進んで苦労をしましょ
うということを伝えようとするものではあ
りません。
(そもそも、途上にある私にそのようなこ
とを述べる資格もありません)
秋山さんが、本田さんの格言について、一
般的に解釈されるであろう「苦労をすれば
喜びがある」という考え方に言及されてお
られましたが、そのような短絡的な考え方
に陥らないように気をつけることをお薦め
したいということが、今回の記事の結論で
す。
要は、どのようなことをすればビジネスが
成功するかということを考えるときに、蛇
口をひねれば水が出るというように、「苦
労をすれば喜びがある」というような短絡
的な考え方に陥ると、却って考え方が硬直
的になり、成功が遠のいてしまいかねない
ということです。
別の書き方をすれば、「苦労すれば成功で
きる」とだけ考えて、真に実践しなければ
ならないことをしない言い訳にしてしまっ
ていることも考えられるということです。
というのは、どうすれば事業に成功するか
ということは、定石的なことは誰でも実践
しており、さらにそこから突き抜けるため
には、誰にも真似できない自分なりの手法
を見つけなければなりません。
それは、本人や経営コンサルタントでもな
かなか見つけることができず、試行錯誤の
繰り返しを経なければ、自分に合った成功
法則を見つけ出すことはできません。
そして、それが正に経営者の機能であり、
醍醐味でもあります。
もし、経営者レベルで「苦労すれば成功で
きる」という思考のままでいれば、その苦
労は無意味なものとなってしまうのではな
いかと、私は考えています。