鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

家族的事業から組織的事業へ

今回の記事は、タイトルからわかるとおり

家族的な経営をやめて組織的な経営をしま

しょうということを述べたいと思います。


しかし、日本の中小企業の大部分はいわゆ

るオーナー会社です。


確かに、「オーナー会社=家族的な経営を

している会社」とは限らないのですが、や

はり、オーナー会社の大部分は家族的な経

営をしていると言えます。


そこで、どうあるべきかはさておき、家族

的な経営をしている会社があることに問題

があるとは必ずしも言い切れないとも思っ

ています。


では、何が問題なのかというと、自社が目

指す事業と、自社の経営体制が合致してい

るかどうかということだと思います。


私の近所にあるお菓子屋さんで、家族的な

経営を続けていて、オーナーは大きな家を

建てたという例を何件か見ています。


これは珍しくない例だと思いますが、家族

的経営であっても成功していると言える会

社は存在します。


その一方で、事業を拡大していながら、常

に資金繰に苦労していて、かつ、従業員の

定着率もよくないという建設会社も多く見

ています。


この会社の改善すべき点としては、いわゆ

る(悪い意味での)ワンマン経営が挙げら

れます。


事業を拡大し、従業員を増やす必要がある

のであれば、組織的な経営を目指さなけれ

ばならないでしょう。


とはいえ、この話を進めていくと、奥が深

く、中途半端な結論としなければならなく

なりそうです。


上場会社でありながら、長年にわたって創

業者が大きな力を持ち続けている会社は少

なくありません。


そのような会社は、問題を起こす会社が目

立ちますが、創業者が大きな力を持ってい

ることがよい方向に働いている会社も多く

あると私は思っています。


日本の会社は、会社法では、株主が意思決

定をすることになっていますが、実態は、

創業者や従業員が意思決定に大きな影響を

与えており、かつては、これが日本的経営

として高度経済成長を支えてきた面があり

ました。


話しを戻して、問題となる例として多いと

感じるものは、「個人事業主のままでは、

取引先から信用されないので、株式会社を

設立したい」という方は多く見られます。


そこまでは問題はないのですが、問題なの

では、株式会社を設立しておきながら、い

つまでも実態は家族的経営(というよりも

むしろ個人商店)のままという会社です。


取引先から信頼されるには、器が株式会社

であればいいのではなく、株式会社の器で

組織的な経営をすることです。


「取引先からの仕事はちゃんとこなしてい

るので、組織的経営かどうかまでは見られ

ていない」と考える方もいるでしょう。


確かにそのような面はあるでしょう。


しかし、器が株式会社であっても中身が個

人商店の会社は、個人商店としてできるこ

としかできません。


実態が個人商店であることが問題ではない

のですが、実態が個人商店でありながら、

器が株式会社であるために、経営者が会社

の事業を拡大できると勘違いしやすくなる

と私は考えています。


事業が拡大したときは、それなりの体制を

整えなければなりませんが、それに気付か

ずに、実態が個人商店のまま、事業を拡大

してしまうと、前述のような常に資金繰に

苦心していたり、従業員が定着しないとい

う会社になってしまうのでしょう。


個人商店は事業拡大をするときは、法人成

(会社を設立して、事業を会社で行うよう

にすること)をして、そのタイミングで組

織的経営に転換する機会はあります。


もし、事業を大きくすることを念頭にして

会社を設立したのであれば、事業の体制も

組織的にすることが必要です。

 

 

 

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