鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

結果の批判は簡単

約15年前のことですが、私が銀行で働い

ていたとき、当時の役員の方から、オフレ

コで、次のような話をきいたことがありま

す。


「いま、銀行は、バブル崩壊の後遺症で苦

しんでいる。


そして、かつてのバブル時代に、あまり融

資の獲得をしなかった職員の中には、今に

なって、『自分は、バブル時代の銀行の、

融資を過剰に増やそうとする方針はおかし

いと思っていた。


だから、バブル時代に、自分は過剰な融資

を行うことはしなかった』と、銀行を批判

している人がいる。


しかし、そのようなことをいう人は、過剰

な融資がおかしいと考えていたわけではな

く、本当は、自分の能力が低くて、融資を

増やすことができなかっただけだろう。


そのことを正当化するために、後付けで銀

行の過剰融資を批判しているとしか思えな

い」というものでした。


もちろん、その元役員の方も、私も、バブ

ル経済時代の銀行の過剰な融資拡大は、銀

行の誤りであると思っています。


ただ、事業活動に関する批判は、特に、当

事者であるならばなおさらですが、後付け

で述べても意味はないと、私も考えていま

す。


別の言い方をすれば、結論の出る前でなけ

れば、「批判すること」の価値はありませ

ん。


心の中で反対していても、口に出して言わ

なければ、賛成したことと同じだというこ

とです。


繰り返しますが、賛成か反対かということ

は、その人が心の中で思っていることであ

り、口に出したかどうかではありません。


しかし、組織の意思決定過程にあっては、

自分がどう思っているのかということは何

の影響も与えません。


自分の意思表示をすることに価値がありま

す。


それは、経営者のような重要な立場にある

人であれば、なおさらその重要性が増しま

す。


一方で、「沈黙は金、雄弁は銀」というこ

とわざもあり、発言しないことが評価され

る場面もありますが、そうであれば、前述

の役員の方が批判した人は、バブル時代だ

けでなく、その崩壊後も銀行を批判すべき

ではないということになるでしょう。


今回の記事の結論は、経営者などの高いポ

ジションにある人こそ、起きたことではな

く、現在の事業活動を評価すべきだという

ことです。


何かが起きた後で評価しても、ビジネスで

は何の意味もありません。


何かが起きる前に口を出し、避けられたで

あろう失敗を最小限にとどめることができ

たかどうかで、経営者としての能力が問わ

れることになると私は考えています。


もちろん、私がご支援している会社さまへ

は、このプロセス管理の手法を身に付ける

ことができるようお手伝いしています。

 

 

 

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