中小企業に限りませんが、多くの会社
には、経営者も口出しがしにくい部署、
すなわち聖域があります。
特に、中小企業では、営業部門や総務経理
部門が聖域になりやすいようです。
そして、「会社の聖域」というと、それが
存在することはあまりよくないことという
ことも、多くの方が理解されておられる
でしょう。
あえて聖域が望ましくない理由を書くと、
経営者の意向を受け入れず、自分たちの
部署を優先してしまい、会社全体として
非効率になったり、他の部署に負担や
悪い影響を及ぼしてしまうからです。
そして、そのような聖域ができてしまう
理由としては、営業部門では「会社の
利益は営業部門で稼いでいる」と主張
したり、また、総務経理部門では、
他の部門に対して自分たちのやりやすい
ようにしないと、経理総務部門が依頼
されたことを受け付けないなどの抵抗を
されたりするからでしょう。
このような状況に、経営者自身も困って
いるということは多いと思います。
しかし、このような状況を改善することも
難しいということも事実です。
そこで、私が事業改善のお手伝いをする
ときに、聖域をなくす、または、減らす
方法として、次のようなことを提案して
います。
ひとつは、ジョブ・ローテーション、
すなわち、定期的な人事異動を行う
ことです。
裏を返せば、聖域ができてしまう理由は
ジョブ・ローテーションができないことが
最大の理由でもあります。
ここでは、字数の余裕がないので、詳しい
ことまでは言及しませんが、ジョブ・ロー
テーションをすると、会社の売上が減少
してしまうと考える経営者の方が多いよう
です。
しかし、長期的には、ジョブ・ローテー
ションを行うことの方が会社の売上は
増加します。
そして、会社組織が大きくなると、この
ジョブ・ローテーションは避けることが
できません。
そうであれば、早い段階からこれを行う
方が得策ということになります。
ふたつめは、規則ない場合、それを作る
ことです。
規則を作る作れば、規則通りかどうかが
問題になります。
また、前述のジョブ・ローテーションを
実施するには、規則がなければ困難に
なります。
みっつめは、コンサルタントを「利用」
することです。
聖域となっている部分について、改善を
要請するとき、「同僚」よりもコンサル
タントから指摘されると、きちんと回答
せざるを得なくなります。
私の場合、聖域の改善については、
前もってきちんと理論武装してから提案
するので、改善を要求された側としては
ごまかすことは難しくなります。
以上、簡単に聖域の改善の方法について
説明しましたが、聖域の改善はとても
難しいことです。
しかし、この聖域があると、会社の成長は
遅くなります。
会社組織は、生身の人間で構成されている
ので、どうしても聖域が作られてしまい
がちですが、だからこそ、それを放置する
ことなく、解消するという課題に経営者は
取り組まなければならないと私は考えて
います。