鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

埋没原価

今回は、埋没原価について述べたいと

思います。


埋没原価という考え方は、すでに多くの

方がご存知と思いますが、改めて説明

すると、経営者の意思決定にかかわらず

戻らない原価(コスト)を指します。


例えば、新しい製品を製造するために

10億円の工場を建設したとします。


この工場で製造する製品を販売する

ことによって、年間で2億円の利益を

見込んでいましたが、建設中に市場の

状況が変わり、年間で1億円の利益

しか見込めなくなったとします。


このとき、この工場を予定通り稼働

するか、それとも製造を中止するか

という判断をするとき、工場の建設

費用をどうとらえるかが埋没原価の

考え方です。


結論としては、工場を稼働してもしな

くても、工場の建設費10億円は戻ら

ないので、これを埋没原価といいます。


そこで、今後発生する費用、これを言い

換えれば経営者の意思決定によって発生

する費用(これを関連費用といいます)

で判断することが妥当ということになり

ます。


前述の例では、利益の見込みが年間でも

1億円なので、稼働するべきと判断する

場合もあると思います。


しかし、別の工場を建設して新製品を

製造する方が、年間2億円の利益を得る

ことができる機会を逃すとすれば、

年間1億円の損(これを機会原価と

いいます)することになります。


埋没原価でよく問題にされることは、

このようなすでに戻らないことが確定

している費用が、経営者の意思決定に

影響を与えることです。


これは、超音速旅客機のコンコルド

採算を得られないことが分かっている

にも関わらず使い続けられたことから、

コンコルド効果と言われることがあり

ます。


今回の結論は、経営者の意思決定は

経営者の感情に左右されやすいという

ことがあります。


いわゆる世間体や体面というものです。


最近、粉飾決算を行った大手電機メー

カーも、経営者の体面を保とうとする

意図が大きな原因のひとつでしょう。


話しを戻して、経営者の冷静な判断が

事業を最短で発展させることにつながると

私は考えています。

 

 

 

 

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