鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社長は手続きでは就任できない?

これも多くの方がご存知とは思いますが、

「社長」という肩書は、法律で規定されて

いる役職ではありません。


一般的な株式会社では、「代表取締役」が

会社としての行為を代理する権限を持って

いることが法律で定められており、この

代表取締役の肩書を持つ人を社長と呼ぶ

ことが一般的です。


会社法第349条第1項などにより、

取締役会を設置していない会社では、

取締役が代表権と業務執行権を持って

いますが、実務的には、定款に別の定めを

作り、代表取締役を選任している場合が

多いようです)


ただし、代表取締役は複数人が選任される

こともあり、会長や副社長が社長とともに

代表取締役である場合もあります。


となると、必ずしも「社長=代表取締役

とは限りませんが、一般的な中小企業では

「社長=代表取締役」と言えるでしょう。


ところが、最近、例としては少ないの

ですが、社長の肩書を持っているにも

かかわらず、その人が代表取締役では

ないという例も増えています。


このようなことが起きる背景のひとつは

事業再生を行っている会社があげられ

ます。


事業再生を行う上で、対外的にはこれまで

その会社の重要なポジションを担ってきた

人が社長であることが望ましいのですが、

かといって、その人に代表取締役としての

権限を与えたくないという場合、肩書だけ

社長とし、代表取締役は再生ファンドから

派遣された人を選任するという場合です。


とはいえ、社長と名乗るからには、外部の

人は相当の権限を持っていると信じて取引

するわけですから、このような例は、

特殊な事情がある場合に限定されるべき

でしょう。


ところで、今回の記事の本題ですが、

社長の役割と代表取締役の役割とは

何なのかということです。


これについては、代表取締役の役割に

ついては法律で定められているので、

それを説明することはできるのですが、

社長の役割は法律で定められてはいない

ので、社長の役割を私が定義しても、

それは私の考え方に過ぎないという

ことになってしまいます。


とはいえ、代表取締役の役割の法律上の

定めが、一般的な社長の役割を定めている

のかというと、そうでもないようです。


会社法第349条第4項では「代表取締役

は、株式会社の業務に関する一切の裁判上

または裁判外の行為をする権限を有する」

としか記載されていません。


ただ、法律上の解釈では、代表取締役

会社の代理人として単独で契約を結ぶ、

会社の業務を執行することができるという

程度にとどまります。


やはり、法律の条文には、法律上の考え

方しか記載されておらず、薄っぺらな

印象を受けるでしょう。


一般的には、「社長=会社のリーダー」

というイメージが強いのではないで

しょうか?


代表取締役は株主、または、他の取締役

から選任される役職ですが、社長は、

会社(≒役員と従業員)のリーダーで

あるということです。


これを裏を返せば、代表取締役に就任

したい人は、単に株主や他の役員から選任

されれば、代表取締役に就任できますが

(いわゆる、ひとり役員会社では、会社を

設立すれば、自らが代表取締役に就任でき

ます)、だからといって、果たして会社の

リーダーである社長としての役割を果たす

ことができるかどうかということにはなら

ないと私は考えています。


代表取締役への就任は手続きだけででき

ますが、社長(=リーダー)への就任は

手続きで終わるとは限りません。

 

 

 

 

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