先日、ある経営者の方から、PDCAが
うまく行かない理由について問われ
ました。
これに対し、私は、私の経験から、次の
ように答えました。
すなわち、PDCAがうまく行かない
会社は、経営者の方がPDCAに飽きて
しまうからというものです。
なぜ飽きるのかというと、多くの
経営者の方は、PDCAを実施したら、
すぐに効果が現れることを期待している
からです。
効果がなかなか出ないと、経営者の方の
関心は低くなり、しまいには、PDCA
による改善活動が尻切れトンボの状態に
なってしまいます。
もうひとつ、PDCAがうまく行かない
理由の大きなものに、経営者の方の関与が
少ないということが挙げられます。
これを具体的に書けば、PDCAを実施
しても、経営者の方は、月次の確認会議に
出席して、部下の方からの報告を受け、
「そうか」とだけしか返事をしないという
状況です。
これは、経営者の方が「PDCAを実施
するということを自分が決めたのだから、
それを実践して効果を出すのは部下たちの
役割だ」と考えている場合でしょう。
当然、経営者がこのような考え方であると
PDCAによる改善活動は、画餅になって
しまいます。
なぜなら、会社の改善には、経営者自身
にも改善してもらわなければならない
部分があるので、従業員だけが変わったと
しても、効果には限界があります。
それに、従業員の方は、経営者自身は
変わるつもりがないということを察して
しまうと、自分たちの変わろうとする
士気も低くなってしまいます。
ここまで書けば、PDCAは経営者
ばかりに負担が大きいことになると感じる
でしょう。
それは事実ですが、改善活動とは、組織
運営の一部ですから、組織運営が主たる
役割である経営者の方にその大きな部分を
担うことは当然といえるでしょう。
経営者の役割は、従業員の方に働きやすい
環境を提供することですから、そのために
PDCAを実施しても、経営者の方の
関与が少なければ、その効果も少なく
なることは当然でしょう。
そして、最後にもうひとつ、PDCAが
うまく行かない、より具体的な理由を
挙げると、月次確認会議しか開かないと
いうことです。
PDCAは、月次確認会議のときしか
議論されないのであれば、それは、
PDCAを行うことが目的となって
いる状態です。
月次確認会議では、先月の状況の確認、
目標と実績の乖離の要因の分析、その
乖離の要因を埋めるための対策などを
決めますが、PDCAがうまく行かない
会社では、会議が終わった途端に、
会議で決まった時効が参加者の頭の
中から消えてしまいます。
PDCAは、月次確認会議が改善活動の
スタートの日で、次の会議まで決め
られたことが実施されなければなり
ません。
従業員の方たちに、そのような行動を
してもらえるようになるためには、
経営者の方のリーダーシップ、
PDCAへの関心の高さ、会議の時
以外でもPDCAの状況について
適宜話し合うといった対応が求め
られます。
今回の記事の結論を一言で書くと、
PDCAを成功させるには、経営者の
方が、PDCAを他人事にしないと
いうことだと私は考えています。