鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

プロフェッショナルの矜持

先日、親類のご主人に不幸があり、都内で

葬儀に参列してきました。


その葬儀を手配した葬儀社は、テレビ

番組に何度か取材を受けている会社だった

のですが、意外に、喪主のご夫人は不満を

持っていたようでした。


その不満というのは、葬儀の運営にひとつ

ひとつ細かく質問をしてくるというもの

です。


10を知るために10を聞いてくるような

感じなのでしょう。


これは、葬儀の進行に間違いがないように

しようという、葬儀社の判断によるものと

思われます。


私も4年前に父親の葬儀を行いましたが、

私の住んでいる栃木県の葬儀社では、

あまり細かいことは喪主の方に聞くような

ことはしていないようです。


むしろ、「ここでは、このようにしては

どうしょうか」などと提案をするなど、

喪主からの信頼を得ることで、細かい

ことまでは喪主にきかなくても、うまく

葬儀を進行することで、喪主の満足を

得ている感じでした。


ここまでの内容では、東京の葬儀社

さんは、10を言わないと10が分から

ない、稚拙な葬儀会社という批判に

思われるかもしれませんが、私が伝え

たいことは、少し異なります。


これは、武田邦彦さんがテレビ番組で

お話しされていましたが、かつて、

日本では、家を建てようとする人が

大工さんに家を建てて欲しいと依頼

すると、希望する間取りなどは一切

聞かずに、どのような家にするかは

一任されて家を建てていたそうです。


それは、この家族にはこのような家が

望ましいということを考えることも、

大工さんの役割だったそうです。


いまからすると、ちょっと考え難い

ことですが、それだけ職人としての

大工さんの信頼が高かったという

ことでしょう。


そういえば、私の頭髪も、知人の

美容師にどうするかは一任して

散髪してもらっており、家一軒とは

簡単には比べられませんが、恐らく

そんな感じだったのではないかと

思います。


要は、餅屋は餅屋、専門家はそれなりの

矜持(きょうじ、プライド)を持って

いれは、細かいことは聞かなくても

顧客を満足させることはできるのでは

ないかと思いました。


前述の、東京の葬儀社さんは、恐らく

よりよい仕事をしようとして、少し、

その方向性を間違ったのではないかと

思います。


葬儀というのは、遺族にとって心が

落ち着かないイベントです。


そのようなときに、よい仕事をする

ために、10を聞くということは、

私としては避けるべきだと考えます。


むしろ、プロフェッショナルとしての

プライドがあれば、顧客の気持ちを

察して、質問を最小限にとどめる

ことの方が、顧客の満足は高くなった

のではないかと私は感じました。

 

 

 

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