鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

経理規定は信頼性を高める

「労なくして銀行から融資を受けたい」と

考えている経営者の方は多いようですが、

その一方で、そのための対策をとる会社は

意外と少ないと考えています。


私は、会社が信頼を得るためには、

きちんとした決算書を作成することだと

考えています。


決算書がきちんとしているかどうかは、

それを見ればすぐにわかります。


「役員貸付金」という勘定科目がある、

いつになっても販売されない棚卸資産

ある、いつになっても回収されない

売掛金がある、減価償却を行うときと

行わないときがある、などです。


ここで、「会社を、決算書だけで評価

することは、偏った評価方法ではないか。

財務面以外でも評価できるだろう」という

疑問を持つ方もいるかもしれません。


しかし、「きちんとした決算書」という

のは、単に立派な決算書ということだけ

ではなく、「きちんと事業が行われている

から、立派に作られている決算書」という

意味です。


その例として、前述の「役員貸付金」

とは、文字通りの役員に貸し付けたお金

ではなく、実態は使途不明か、または、

会社の経費としては認めることができない

支出のことであり、それを社長への貸付

という名目で計上しているものです。


こういった科目があると、会社のお金の

管理はきちんとしていないということが

銀行に伝わってしまいます。


ですから、このような不適切な取り扱いを

防ぐには、「中小企業の会計に関する

指針」や「中小企業の会計に関する基本

要領」に基づいて、経理規定を作成し、

それを守ることです。


(ご参考→ https://goo.gl/R6iQdU


そのような会社は、前述のような不適切な

会計は行われなくなります。


特に、多くの金融機関では、前述の会計

指針に基づいて会計処理を行っている会社

向けに、無担保融資を行う制度を用意して

いるなど、金融機関も会計指針を採用して

いる会社を高く評価していることがわかり

ます。


しかし、会計指針に基づいて会計処理を

行っている会社は、まだまだ少ないよう

です。


中小企業にとっては、会計指針を守る

ことも、負担となっているようです。


これについては多くの議論があると思い

ますが、私はそれは経営者の甘えだと

思っています。


甘えというのは、会社という器を作って

おきながら、それを公器と考えずに、

私物化しているということです。


会社を私物化している経営者は、「この

会社は自分が設立して育ててきた会社

だから、自分の好きなようにしたい」と

考えています。


そのことが直ちに悪いとは言えませんが、

そのような考え方をしている経営者の

経営する会社は、自ずと事業の成長に

限界があるでしょう。


一方で、会社は社会に助けられながら

成長していると考えている経営者は、

きちんとした会計処理を行い、さらに

社会から信頼を得ようとするでしょう。


何千社、何万社の決算書を見ている金融

機関は、決算書がきちんとしているか

どうかということから、経営者の姿勢も

見ていると私は考えています。

 

 

 

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