鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業の責任

先日、あるサラリーマンの方から

次のような話を聞きました。


「勤めている会社で、社長から、ある

プロジェクトを進めるよう指示があった。


しかし、そのプロジェクトは失敗する

可能性が高かったので、私は社長に

プロジェクトを実行しないよう進言

したが、社長に押し切られ、実行する

ことになった。


そして、不幸にも、私の予想は的中し、

そのプロジェクトは失敗した。


ところが、その後、社長から、

『自分は反対したのに、なぜ、お前は、

そのプロジェクトを実行したのか』と

言われ、失敗を自分の責任にされた」

というものです。


これは、当事者の一方だけからの

話なので、真偽を断定することは

できないのですが、社長には大きな

過失があると思います。


ひとつは、組織内の意思決定の記録を

していないことです。


結果的に失敗を悔やむような

プロジェクトであったわけですから、

実行を決定するときは、それなりの

会議の議事録や、稟議書による

意思決定を行っておくべきでしょう。


ふたつめは、仮に、部下の独断で

プロジェクトを行い、それが失敗

したとしても、社長の責任は

避けられないはずです。


部下が、上司の指示に反して

プロジェクトを実行した場合、

社長には監督責任や、それを防ぐ

ための管理体制が不備であった

責任を問われます。


しかし、このふたつは表面的な責任です。


本質的な責任は、会社で起きたことの

責任は、すべて社長にあると考え

なければならないということです。


前述のサラリーマンの方に、悪意が

なかったとすれば、その方の士気は

下がってしまいます。


そして、プロジェクトの失敗の責任を

負わされたのちは、受動的な仕事しか

しなくなるでしょう。


また、

その他の従業員の方にも悪影響を

与えることでしょう。


このように書くと、社長に過大な

責任を負わせようとしていると

感じてしまうかもしれませんが、

逆に言えば、会社で起きたすべての

手柄も社長のものになります。


会社を起こした経営者の方は、事業を

大きくしたいと考えて起業したわけ

ですから、それに相応する責任も

持つことになるわけです。


ただ、ここでは、誰に責任があるのか

ということを述べたいのではありません。


社長は自らにすべての責任があるという

考え方で事業に臨んでいれば、

プロジェクトの失敗から新たな学びも

得られるし、プロジェクトに携わった

従業員の方の士気も落ちることがなく、

長い目で見ればよい業績を得ることに

つながると思っています。

 

 

 

 

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