鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社長は決定する人で社員は実行する人

西日本で5つのホテルを運営している

株式会社川六の社長を務める宝田圭一

さんが書かれた本、「地域でいちばん

ピカピカなホテル」

( http://amzn.to/2t04rNT )を読んで

たいへん感銘を受けましたので、

今回は同書の内容についてご紹介

したいと思います。


ひとつめは、「社長は決定する人で、

社員は実行する人」という言葉です。


これは、一見すると、社長が一人で

なんでも決めて、社員は単にそれに

したがうだけというように受け止め

られてしまいそうですが、実際は

そうではありません。


社長は、どのようにホテルを運営

するかを決めなければならず、

その結果はすべて社長に責任がある

という意味です。


また、社員は、社長の方針に従って

どれだけ忠実に行動できたかをいう

ことにのみ責任を問われるという

ことです。


よく、会社の業績があがらないのは

社員に恵まれないからだと考える

経営者の方がいますが、これは

2つの点で誤りです。


仮に、優秀な社員がいれば業績が

あがるということであれば、会社は

優秀な社員を集めさえすればよく、

そして、そのような会社は社長は

どんな人でも務まるか、そもそも

そのような役割は不要になります。


ふたつめは、実際には、優秀な

社員を集めただけでは会社の業績は

よくなりません。


というよりも、稼げる社員は、

そもそも会社に勤めようとせず、

自分ひとりで事業をするでしょう。


なぜ会社という器が必要かと言えば、

複数の人が集まって組織として活動

することで、よりよい効果が得られる

わけであり、その組織としての活動を

うまく切り盛りすることが経営者と

しての能力が問われるところです。


ですから、業績があがらないことを

社員の能力に帰するという考え方は

妥当ではありません。


話しを戻すと、川六さんでは、

「社長は決定する人で、社員は実行

する人」の一例として、人事評価の

透明化を行っています。


具体的には、「アンケートの回収

枚数」、「ありがとうカードを受け

取ったり書いたりした枚数」、

「改善提案の提出回数と採用件数」、

「顧客へ出す手紙の枚数」、「顧客

からの評価」などで、人事評価が

決まります。


(ありがとうカードとは、社員が

ほかの社員にたすけてもらった

ときに書くお礼のカードのことで、

もし、これを書く件数や受け取る

件数が少ない社員は、スタンド

プレーをしている傾向にあると

いうことがわかります)


こうすることで、社員はどのような

行動をすればよいかが明確になり、

会社の業績を上げるための活動が

効率的になります。


とはいえ、このようなことだけを

して、会社の業績があがるのか

疑問があると感じる方もいると

思います。


確かに、会社の業績を上げるための

活動は、前述のようなアンケートを

多く回収するだけではありません。


しかし、あえてそのような単純な行動を

社員に求めることは、社員のスキルに

よるものだからです。


社員のスキルが上がれば、アンケートを

たくさん回収したうえで、それをどの

ようにサービス品質の向上のために

活用できるかというところまで考えて

行動するようになるでしょう。


ただし、いきなりそのレベルまで

求めることは困難であることから、

スキルがあまり高くないときは、

具体的な行動のみを明示し、スキルが

高くなるにつれ、徐々に自立的に活動

できるような目標を与えていくという

段階を踏む必要があります。


また、そのような社員のスキルの

管理をすること、そして、現在の

スキルにあわせてどのようなことを

評価を測る指標とすべきかを考える

ことが、経営者として大切な能力で

あると私は考えています。

 

 

 

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