鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社長のお金持ちアピール

[要旨]

社長がお金持ちアピールをすることは、直接的には業績には関係がありませんが、従業員の方の士気を下げてしまうことになりかねません。オーナー会社の場合、社長と会社は実質的に同一人格なので、社長が個人的な欲求を満たすことが会社の事業に影響しないか、注意が必要です。


[本文]

経営コンサルタントの小島幹登さんのポッドキャスト番組を聴きました。要旨は、高級レストランに行ったときの写真をSNSに投稿する経営者がいるが、それが社長の自己顕示欲によるものである場合、従業員の士気を下げてしまい、それが離職の大きな要因になっている、というものです。私は、小島さんと同じ考えを持っていますが、だからと言って、その考え方が100%正しいと言い切ることもできないので、ここでは、その是非は議論しません。

ただ、小島さんも番組の中で指摘していますが、社長が会社に人事評価制度を導入したり、人事コンサルタントの支援を受けさせたりしても、社長自身の行動が従業員の方の士気を下げるようなことをしていては、制度導入や外部専門家の支援を受けることの意味はなくなるということは事実だと思います。オーナー会社の場合、法律上は別人格ですが、社長と会社は、実質的には、同一人格なので、社長が個人負担で高級レストランの料理を食べていたとしても、従業員からは、「自分たちが働いているから、社長は贅沢ができる」などと感じることもあるでしょう。

その一方で、会社で問題が起きたときは、実質的に会社と同一人格の社長は、個人的にも責任を負わなければならないこともあります。そう考えれば、社長が個人的に、従業員が普段は食べられないような高級料理を食べることは問題がないとも言えます。したがって、最終的には、社長と従業員の信頼関係があるかどうかということだと思います。仮に、社長が贅沢な暮らしをしていても、従業員から、「社長のおかげで、自分たちも安心して働くことができる」と感じてもらえれば問題がないと思います。一方で、「社長があのようないい暮らしができるのは、従業員が犠牲になっているからだ」と感じられてしまうのであれば、会社の業績は下がってしまうでしょう。

私も、ときどき、事業改善のコンサルティングの依頼を受けることがありますが、事業を改善する取り組みに、社長自身が最も懸命に取り組まなければ、従業員の方たちは、社長以上に頑張ろうとは考えません。このことは、当然のことなのですが、意外と忘れられがちなことではないかと、私は感じています。社長が高級料理を食べたり、それをSNSに投稿することは、直接的には業績には関係のないことですが、そのようなことをしている経営者の方は、従業員のことが頭に入っているかどうかということに、私は疑問を感じます。

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