鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社長は4番打者か、それとも、監督か

[要旨]

会社を野球チームに例えると、社長が4番バッターでエース投手の状態の会社は、その社長がいなければ、事業活動はできない状態です。一方、社長が監督の役割に徹し、チームワークを高め、各メンバーそれぞれが役割を発揮できるように働きかけている会社は、基本的には、監督が代わっても、ある程度の業績を維持できます。このような状態の会社であれば、銀行は、社長に保証を求めることはしないでしょう。


[本文]

前回は、中小企業の中には、経営者の個人的信用で事業を営んでいる会社も少なくなく、そういう会社に対しては、銀行は、社長の信用で融資をしているので、会社に対する融資であっても、実質的には、経営者に対する融資であることから、経営者を連帯保証人としている面もあるということについて説明しました。では、経営者と会社が同一ではないという状態とはどういう状態でしょうか?これは明確にすることは難しいのですが、私は、会社を野球チームに例えると、実質的に個人商店の会社とは、社長が4番バッターで、かつ、エース投手の状態の会社です。

社長以外にも、チームメンバー(従業員)はいますが、社長ひとりが点を稼ぎ、社長ひとりで相手打者を押さえるので、他のメンバーは、社長に合わせて動いているだけです。そこで、このようなチームは、社長がいなければ、戦力は皆無に等しい状態です。一方、経営者と会社が同一ではない会社とは、社長が監督としての役割に徹している会社です。チームメンバーは、それぞれ、プレーヤーとして、各々の役割を果たしながら、チームとして業績を高めようとしています。

そして、監督である社長は、チームワークを高めるための働きかけをしたり、各々のメンバーの能力が発揮できるよう指導をしたり、各々のメンバー適切なポジションを検討したり、ゲームに勝つための作戦を検討したりします。このような会社の場合、社長がいなくなっても、それぞれのメンバーが実力を持っていたり、チームワークを発揮することができたりするので、直ちに、事業ができなくなってしまうわけではありません。ただ、長期的には、社長の采配による、業績の差が現れてきます。

でも、采配が上手な社長さえいれば、特定の社長でなくても、その会社は基本的には高い業績を維持できるでしょう。したがって、そのような状態の会社であれば、銀行が融資をする際には、「監督」の役割を果たしているに過ぎない経営者を連帯保証人にしようとは考えないでしょう。でも、社長が4番バッターでエース投手の会社に対しては、その社長がいなければ事業活動は維持できないので、社長を連帯保証人としたいと考えるでしょう。この続きは、次回、説明します。

2022/11/18 No.2165