鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

人の話をよく聴く

私は、仕事柄、多くの経営者の方とお会いする機会がありますが、業績のよい会社の経営者の方の特徴のひとつに、人の話をよく聴くというものがあると、私は感じています。このように書いては失礼ですが、中小企業の場合、経営者の方の多くは、(よい意味で)ガキ大将タイプの人が多いので、人の話をよく聴く方は、どちらかというと、珍しいタイプの方だと思います。(だからといって、ガキ大将タイプの経営者の方が経営する会社は、必ずしも業績が悪いとは限らないということも、重々承知しています)

ただ、そのような経営者の方は、人の話をよく聴くというよりも、仮に、意見の違う人であっても尊重する姿勢で人に接するようにしている人なのだと思います。そして、その表れのひとつが、人の話をよく聴くという行動につながっているのではないかと思います。ここから先は、私が説明するほどのものではありませんが、人の話を聴くということは、必ずしも、他人の意見を受け入れるということであるとは限りません。いったん、話を聴いた上で、共感できる意見であれば、それを受け入れればよいし、賛同できないものであれば、自分の考え方を変えなければよいだけです。

ただ、結果として、自分の意見を変えないことになっても、人の話をひととおり聴くということにしておけば、自分の考え方の客観性を高めることができたり、いままで気づかなかった別の観点に気づいたりする機会が増えるので、最初から、人の話を聴かない人よりは、自分自身の見聞を広めることになるのでしょう。また、そのような謙虚な姿勢の方は、好意的な印象を持たれやすいので、協力者も多くなるという副次的な効果も得られると思います。だから、そのような方が経営する会社は、業績もよくなるのだと思います。

でも、人の話を傾聴するということは、易しいようで、強く意識していないとなかなか実践できないことも事実だと思います。私も、人の話を聴くことは意識して心がけてはいますが、話が長い人の話を聴いているとき、「早く結論を言ってくれないかなぁ」と、心の中で思ってしまうことはよくあります。やはり、ビジネスパーソンとして成功するには、忍耐力や、寛容な心が大切なのだということを感じています。そういえば、最近は、政府の中小企業支援策が後手後手になっていると、不満を感じていましたが、もう少し大きな視点を持って、自分にももっとできることはないか、落ち着いて見つめ直さなければいけないと、反省したところです。

 

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権威が無力になっていく時代

4月27日の日本銀行金融政策決定会合で、年間80兆円としていた国債の購入額の枠をなくすことなどを含めた、追加緩和を行うことが決定されました。(ご参考→ https://bit.ly/3eWP8P9 )とはいえ、「だからなに?」と感じる人も多いのではないでしょうか?それも当然で、日本銀行が持つ国債の残高は、1年間で15兆円しか増えておらず、年間増加額が80兆円を超えそうになっているわけでもないのに、「上限をなくす」ということに、それほど大きな意味はないでしょう。

これは、逆を言えば、それくらい金融政策は打つ手がなくなっており、口先だけのことしかやることがなくなっているということの表れと言えるでしょう。もし、そうでなければ、日本銀行が目標としてきた、インフレ率の目標の2%は、すでに達成されているはずです。すなわち、現在の日本において、金融政策は、もう、効果を期待できなくなってきているということでしょう。

これと同様に、金融庁の金融行政も、従来よりも一歩引いたものになっています。昨年12月に、金融検査マニュアルを廃止したことも、その表れのひとつです。そうなった背景は、金融機関の在り方については、最早、行政当局では指導できず、金融機関が現場で得ている情報に基づいて自らを律し、それを金融庁が追認するしかなくなっているからだと思います。

話がそれますが、そのことを金融庁が認識せざるを得なくなったのは、スルガ銀行の不正融資を見抜くことができなったことが大きいと思います。ここまでの内容は、日本銀行金融庁への批判ですが、今回の記事の主旨は、両者を批判することではありません。現在のような、経済活動が複雑な時代は、監督する立場よりも、事業の現場にいる立場の人たちの方が、有益な情報を得られる時代になっているのだと思われます。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社に対して、金融庁が働きかけるまでもなく、多くの金融機関は、審査期間を短縮したりするなど、自発的に独自の対応をしています。また、商業施設のテナントに対して、賃料の支払いを免除したり猶予したりするという支援も、行政当局からの要請によるものではなく、商業施設が独自の判断で始めています。このような例を見ると、日本の民間会社には、企業市民としての考えが深く定着しているということが分かり、かつ、その分だけ、行政の出番は少なくなっているのだと思います。

たまたまですが、先日、弁護士の鳥飼重和さんが、鳥飼さん自身のポッドキャスト番組で、戦国武将の織田信長についてお話しておられました。(ご参考→ https://bit.ly/2Sb5BVZ )すなわち、時代の変わり目は、小さな国の武将だった織田信長が、大きな国の武将の今川義元を倒すことができる。そして、現在も、伝統のある大きな会社が、新興の小さな会社がなくては事業活動ができない時代になっている。すなわち、会社同士の付き合いは、歴史や規模が関係なくなりつつあるということを指摘しておられます。このことは、現在は、規模が小さくても、大きな会社と伍して戦える時代であるということの表れであり、これから起業したいと考えている方にとっても、大いに勇気づけられる状況になっていると、私は考えています。

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官僚制組織

先日、日本経済新聞に、銀行が融資審査を迅速化させているとい記事が載っていました。(ご参考→ https://s.nikkei.com/2y11SU8 )これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社から、融資の申し込みが増えていることへの対応であることは、言うまでもありません。融資の審査は、本来は、厳格に行うべきものですが、現在のような状況では、融資審査をしている間に、融資の申し込みをしてきた会社の資金が尽きて、事業を継続できなくなってしまえば、銀行の役割を果たすことができなくなってしまうので、迅速さが最優先されなければなりません。

これまで銀行は、収益力が低く、批判される状態が続いて来ましたが、現在は、独自の判断で適切な対応をしていることは、とても評価できると思います。一方で、残念ながら、政府の中小企業への救済施策は、これまで二転三転してきました。というのも、手続きを重視する官僚が判断に加わると、迅速性は後回しにされてしまい、本来の目的を見失ってしまうのでしょう。

これは、まさに、ドイツの社会学者、マックス・ウェーバーの提唱した、「官僚制組織」の弊害といえるでしょう。この官僚制組織は、官公庁に限らず、民間会社であっても、大きな組織にあてはまることがままあります。この官僚制組織は、すべての面において問題があるわけではなく、例えば、軍隊などは官僚制組織が向いています。ただ、過度に硬直化してしまうと、本来の役割を果たせなくなってしまうことは、前述の通りです。

繰り返しになりますが、現在の日本は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、経済的に大きな打撃を受けていますが、このような非常時は、強いリーダーシップのもと、難局を乗り切る柔軟な対応が求められています。だからこそ、このようなときの対応によって組織の善し悪しが現れるということを、改めて実感できます。さらに、これは、リーダーシップや組織の強さとはどういうことかということを考え直すよい機会にもなるでしょう。

 

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会社の姿勢で銀行の姿勢も変わる

先日、税理士の大久保圭太さんが、大久保

さんのポッドキャスト番組で、「コロナ関

連の融資を受けるときは、当然、自社は業

況が悪くなっているわけだから、初めて取

引をする銀行には断られてしまうので、既

に融資取引がある銀行に申し込みをせざる

を得ない」とお話しておらえました。


(ご参考→ https://bit.ly/3bQVy0g


大久保さんのご指摘はごもっともなのです

が、あえて大久保さんがそのようなご指摘

をされるということは、逆に言えば、銀行

と疎遠な関係にある会社が多いということ

を、大久保さんが見てきているということ

なのでしょう。


私も、中小企業の資金調達のご支援をして

きて、同様のことを感じます。


というのは、融資を受けたいときだけにし

か、銀行に行かない経営者の方は、意外と

多いということです。


その理由はひとつだけではないと思います

が、その最大の理由は、恐らく、銀行が苦

手ということでしょう。


そのような会社は、銀行から見ると、「都

合のいい時だけ銀行に頼ってくる会社」と

写ってしまいます。


ここで、「銀行は晴れの日に傘を貸し、ど

しゃぶりの日に傘を取り上げる」という揶

揄を思い浮かべる経営者の方も多いと思い

ますが、自分の都合のいいときだけ銀行を

頼ろうとする会社は、銀行からも「晴れの

日は銀行には来ないのに、どしゃぶりの日

だけ傘を借りに来る」と写るのです。


ただ、ここで述べようとしていることは、

「銀行も融資を受ける会社も、お互いさま

だ」ということではありません。


すべてではないのですが、一部の会社経営

者の方は、銀行に対して、「中小企業が資

金繰に困っている時、それを助けるのが銀

行の役割なのだから、あまり細かいことを

言わずに、とにかく融資をして欲しい」と

いう態度で、銀行に接していることがあり

ます。


だからといって、銀行に対してへりくだっ

たり、特別な気を遣う必要はありません。


けれども、「こちらが困っているから、そ

れを助けることが当たり前だろう」という

姿勢で接していれば、銀行職員も、その程

度にしか自社に協力しようとしないという

ことです。


このことは、以前、「円環的対応」という

言葉で説明しましたが、相手の自分への反

応は、自分の相手への反応に左右されてい

る面があります。


(ご参考→ https://bit.ly/3cRYeL1


このことは、多くの方が理解されておられ

ると思うのですが、そのような事例を、ま

だ見ることがあるので、今回の記事に書く

ことにしました。


そして、もちろん、このような関係性は、

コンサルタントである私にとっても、顧問

先との関係にも当てはまります。


銀行職員が融資相手の経営者との関係にも

当てはまります。


そして、こういう時だからこそ、「他山の

石もって玉をおさむべし」という姿勢が大

切だと思います。


なお、当事務所では、新型ウィルス感染症

の影響を受けた会社さまからのご相談につ

いては、電子メールでのみ、無償でお受け

しておりますので、ご希望の方は、こちら

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平時からの備えが評価を得る

前回の記事で、「売上計画は、まず、経営

者の方針に基づいて作る」と述べました。


これに対し、「それでは、経済危機に直面

している時は、どのような事業活動をすれ

ばいいのか」というご質問を受けました。


このような質問は、これまでいくつか受け

ていますが、私も明確に回答できません。


なぜなら、新型コロナウイルス感染症の影

響が、いつまで続くか、予想できないから

です。


思い切って新たな事業に進出してみたら、

経済状況が予想より早く正常化し、新たな

事業に進出する必要はなかったということ

になるかもしれません。


逆に、新型コロナウイルス感染症の影響は

長く続かないと見込んで、新たな事業には

進出せずいたら、意外と経済状況の正常化

が遅く、既存の事業を続けることができな

くなってしまったということになるかもし

れません。


でも、ここは、リスクをとらないことの方

が無難だと思うので、私だったら、既存事

業の継続を前提にする方を、一般的には、

お薦めします。


いずれにしても、判断が難しい状況にある

ということを、改めて感じました。


ただ、もうひとつお薦めしたいことは、多

くの経営者の方は、このことに関しては、

耳にたこができるくらい聞いていると思い

ますが、危機への備えです。


その危機への備えで、いま、注目を浴びて

いる会社は、チューリッヒ保険です。


同社は、新型コロナウイルス感染症の影響

が出たことから、コールセンター業務を、

オペレーターの自宅で行えるようにしてい

ます。


(ご参考→ https://bit.ly/3cMDyEu


コールセンター業務は、個人データを扱う

ことから、社外で行わせることは難しいと

言われてきたのですが、オペレーターの自

宅のパソコンに、個人データが残らない仕

組みを作ったため、それが実現できている

そうです。


ただ、ここで注目したいのは、これは、も

ちろん、新型コロナウイルス感染症の影響

が出始めてから準備したのではなく、20

年ほどまえから、BCP(事業継続計画)

として取り組んできたことで、ここで、そ

の成果が発揮されているということです。


このBCPは、東日本大震災のときも注目

を浴びていますが、一昨年9月に起きた、

北海道胆振東部地震でも、改めて注目され

た会社がありました。


地震直後は、北海道全域が停電したにもか

かわらず、北海道内にある1,100店の

うち、95%以上の店舗が営業を続けた、

コンビニエンスストアセイコーマート

は、BCPに基づいて停電に備えていたこ

とで、利用者から賞賛を浴びています。


(ご参考→ https://bit.ly/2S5ymTY


当時、他のコンビニエンスストアは、停電

でレジが使えず、休業したところが多かっ

のですが、セイコーマートは、停電の際は

車を使って最低限の電源を確保することが

マニュアル化されており、さらに、近くに

車が置けない場合やガソリンがない場合を

想定し、電気や通信回線が使えなくても使

える小型会計端末を全店舗に配布していた

ことが奏功したようです。


このような会社の姿勢は、自社の活動を維

持したことだけでなく、社会からの会社へ

の信頼性を高めることにもなっていると思

います。


確かに、今回のような危機は、頻繁には起

きないことから、経営者の方は、そういっ

たことへの備えには、なかなか気が向かな

い場合が多いと思います。


ただ、危機への備えに熱心な会社は、危機

が過ぎ去った後も大きな評価を得られると

いうことを考えれば、通常の方法では、ラ

イバルとの差別化がなかなか難しい時代に

あっては、それを打開する突破口にもなる

ものと、私は考えています。


そして、いま起きている、新型コロナウイ

ルス感染症の影響は、本当に残念なことで

はありますが、BCPを導入していない会

社にとっては、それを採り入れ、自社の基

盤をより強くするために機会にもなるので

はないかと思います。


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売上計画の作り方

前回の記事で、資金繰見込表を作るには、

売上見込みを立てる必要があると書きまし

たが、それに対し、売上見込みを立てるに

は、どうすればよいのかというご質問があ

りました。


ただ、売上見込みは、資金繰予定表のため

に立てるものではなく、本来は、計画的な

事業活動を行うのであれば、おのずと売上

見込み(売上計画)を立てることになりま

す。


ただ、売上計画がない状態から資金繰予定

表を作るときには、その時点で、売上計画

を作らなければならなくなるということで

す。


順番はいずれにしても、具体的に売上計画

を作るにはどうすればよいかというと、平

常時は、一般的には、売上は増加基調で作

られるでしょう。


ただ、その度合いは、経営者の方の考え方

によると思います。


すなわち、積極展開する方もいれば、地道

に展開しようとする方もいるでしょう。


したがって、「売上はこんごどうなるか」

ではなく、「売上をこんごどうするか」と

いう観点から、売上計画は作られることに

なるでしょう。


しかし、それを数値化してみると、ある程

度、その売上計画の実現可能性が分かるよ

うになります。


例えば、積極的に売上を拡大しようとして

いる会社経営者が、その考えに基づいて売

上計画を立てても、売上を増加するために

は、新たな設備が必要になったり、従業員

を増やし、かつ、育成したりしなければな

りません。


そこで、売上に対する、設備投資や費用ま

でを検討していくと、経営者の方針が実現

できそうかどうかが数字で確かめられるよ

うになり、当初のもの通りにならない場合

は、何度か修正をしていくことで、より現

実味を帯びるものになっていきます。


よく、「売上計画を作っても、その通りに

なるとは限らないから、意味はない」と、

否定的に考える経営者の方がいますが、私

が、売上計画を立てることが大切と考える

のは、売上計画を立てることで、より実現

性の高い方向性を確認できるからです。


ですから、「勘」だけで行動するよりも、

売上計画を立てる段階で、事業をある程度

シミュレートできるので、経営者の構想は

より早く実現できるようになると私は考え

ています。


話を、冒頭の質問にもどすと、事業活動が

制限されているなかであっても、売上計画

は、まず、経営者の方針に基づいて作るこ

とになります。


例えば、事業活動が制限される期間はどれ

くらいか、その間、何をするかということ

は、経営者が決めなければなりません。


例えば、飲食店では、「事業活動が制限さ

れる期間は3か月間と見込まれ、その間は

テイクアウトを中心に、前年同月の売上の

40%を維持し、パートタイマーのシフト

を50%減らしてもらう」という方針があ

れば、それに基づいて、具体的な数値を売

上計画として明確化できます。


さらに、それに基づいて、費用を算出すれ

ば、利益(赤字)の見込みや、必要となる

運転資金も明らかになります。


いままで、このような売上計画を作ったこ

とがない経営者の方は、比較的時間を確保

しやすいいま、売上計画の作成をしてみる

ことをお薦めします。


ところで、「事業計画を作ったとしても、

それを融資申込のときに銀行に提出したと

きに、銀行は、その売上計画を実現できる

ものとして評価してくれるのか」という疑

問を持つ方がいると思います。


その疑問ももっともで、確かに、銀行は、

売上計画がその通り実現するとは評価しな

いかもしれません。


ただ、そうはいっても、売上計画を作って

いな会社と比較した場合、どちらの会社が

評価されるでしょうか?


もちろん、売上計画を作ってある会社で

しょう。


なぜなら、売上計画のある会社の方が、活

動内容も明確であるし、売上計画は経営者

のコミットメント(責任をもって達成しよ

うとする約束)として、銀行は受け止めま

す。


売上計画が達成されるかどうかも大切です

が、計画性のある会社の方が評価され、そ

の結果、融資の承認も得やすくなるでしょ

う。


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コロナ関連融資の審査のポイント

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた

会社へのセーフティネット保証(以下、S

N保証)の審査について、「やむを得ない

事情とはいえ、業況が悪化した会社に、経

営環境も見通すことができない中、融資

(保証)の審査はどうやって行うのか」と

いう質問を受けることがあります。


確かに、SN保証や、特別貸付の融資(保

証)審査は、通常の融資の審査とは異なる

ので、これらを利用しようとする方が、そ

のような疑問を持つことも理解できます。


では、SN保証については、どういった審

査するのかということを、これから説明し

たいと思います。


但し、これは、それほど普遍性がないとは

考えていませんが、私個人の考え方でなの

で、必ずしも、すべての銀行、信用保証協

会の方が、同じように考えているとは限ら

ないということを、あらかじめご了解くだ

さい。


まず、SN保証を申込んで来た会社に対し

ては、新型コロナウイルス感染症の影響が

なかったとしたら、事業は正常に継続でき

ているかどうかという点を見ます。


具体的には、黒字を維持しているか、自己

資本比率が少なくとも20%程度以上ある

か、融資額が過剰ではないか、ということ

を確認します。


それらが問題がなければ、融資(保証)の

申込額が妥当かどうかを見ます。


これは、月商の3か月分とか、固定費の3

~6か月分など、定まった目安はありませ

んが、そのような金額が参考にされます。


ただ、できれば、月次資金繰予定表がある

と、資金必要額が明確に銀行(信用保証協

会)に伝わります。


そして、月次資金繰予定表を作成する過程

で、融資を申し込む側も、必要額が明確に

理解できます。


そこで、例えば、「これから運転資金がい

くら必要になるか分からないから、多めに

申し込みをしておきたい」というような、

薄い根拠の金額で申請をすることがなくな

ります。


さらに、返済条件、特に、据置期間につい

ても、6か月間や1年間必要と考えていれ

ば、それも、資金繰予定表で明確に根拠を

示すことができます。


でも、資金繰予定表を提出できなければ、

審査する側も、過去の財務データのみで、

月商や固定費などから類推して、承認する

融資(保証)金額や返済条件を決めること

になります。


審査をする側も、本当は、資金繰予定表を

見て、金額や返済条件の妥当性を検討した

いのですが、やはり、申込をする会社でな

いと、資金繰予定表を作ることはできない

ので、提出された資料のみで判断せざるを

得ません。


ところで、セーフティネット保証の審査で

は、結局、もともと正常な会社であったか

ということと、申込金額や返済条件が妥当

かということしか検討せざるを得ないとい

うことが、冒頭の質問への回答です。


ただ、繰り返しになりますが、資金繰予定

表を提出しているかどうかで、審査結果の

納得性に違いが出て来ます。


ひとことで言えば、資金繰予定表なしで申

込をすれば、アバウトな判断しかされず、

その結果、申込をした側からは、不満を感

じる結果になる可能性もあるということで

す。


私は、従来から、資金繰予定表は大切であ

ること、そして、その作成方法もお伝えし

てきました。


しかし、これを作ることができる会社は、

あまり多くないということも現実です。


資金繰予定表は、高いスキルがなくても作

成できるものですが、まず、問題となるの

は、売上見込みです。


これは、最終的に、経営者の方が判断する

しかありません。


そして、経営者の方も、最終的には、明確

な根拠なしに、売上見込みを決めざるを得

ないこともあるでしょう。


まず、この売上見込みを決めるということ

ができなければ、資金繰予定表を作成でき

ません。


次は、売上見込みに基づいて、売上原価や

固定費の推移を決めて行くのですが、これ

も、不慣れな人にはやや難しい作業です。


ただ、現在の状況は、会社によっては時間

を確保できる場合も多いと思います。


そのような会社の方は、この機会に、資金

繰予定表を作成してみることをお薦めしま

す。


資金繰予定表を作ることができるようにな

ると、これからの融資申請は、とても楽に

なります。


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