私は、仕事柄、多くの経営者の方とお会いする機会がありますが、業績のよい会社の経営者の方の特徴のひとつに、人の話をよく聴くというものがあると、私は感じています。このように書いては失礼ですが、中小企業の場合、経営者の方の多くは、(よい意味で)ガキ大将タイプの人が多いので、人の話をよく聴く方は、どちらかというと、珍しいタイプの方だと思います。(だからといって、ガキ大将タイプの経営者の方が経営する会社は、必ずしも業績が悪いとは限らないということも、重々承知しています)
ただ、そのような経営者の方は、人の話をよく聴くというよりも、仮に、意見の違う人であっても尊重する姿勢で人に接するようにしている人なのだと思います。そして、その表れのひとつが、人の話をよく聴くという行動につながっているのではないかと思います。ここから先は、私が説明するほどのものではありませんが、人の話を聴くということは、必ずしも、他人の意見を受け入れるということであるとは限りません。いったん、話を聴いた上で、共感できる意見であれば、それを受け入れればよいし、賛同できないものであれば、自分の考え方を変えなければよいだけです。
ただ、結果として、自分の意見を変えないことになっても、人の話をひととおり聴くということにしておけば、自分の考え方の客観性を高めることができたり、いままで気づかなかった別の観点に気づいたりする機会が増えるので、最初から、人の話を聴かない人よりは、自分自身の見聞を広めることになるのでしょう。また、そのような謙虚な姿勢の方は、好意的な印象を持たれやすいので、協力者も多くなるという副次的な効果も得られると思います。だから、そのような方が経営する会社は、業績もよくなるのだと思います。
でも、人の話を傾聴するということは、易しいようで、強く意識していないとなかなか実践できないことも事実だと思います。私も、人の話を聴くことは意識して心がけてはいますが、話が長い人の話を聴いているとき、「早く結論を言ってくれないかなぁ」と、心の中で思ってしまうことはよくあります。やはり、ビジネスパーソンとして成功するには、忍耐力や、寛容な心が大切なのだということを感じています。そういえば、最近は、政府の中小企業支援策が後手後手になっていると、不満を感じていましたが、もう少し大きな視点を持って、自分にももっとできることはないか、落ち着いて見つめ直さなければいけないと、反省したところです。