鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

組織の管理原則

今回は、あらためて組織の基本的なことが

らについて説明したいと思います。


組織については、これまで多くの学者の方

たちが研究していますが、その組織には、

一定の秩序があるということが分かってい

ます。


(とはいえ、これは特に難しいということ

ではなく、普段から組織にかかわっている

ビジネスパーソンも実感できることです)


もし、この秩序がなければ、組織が維持で

きなくなったり機能しなくなったりしてし

まいます。


ただ、この秩序については、多くの研究者

が組織の管理原則として示しており、例え

ば、管理過程論の研究で著名な、フランス

人の実業家、アンリ・ファヨールも、14

の管理原則を示しています。


しかし、この原則についてはある程度は収

斂されているものの、広く定まったものは

ないため、ここでは重要と思われる5つの

原則を示します。

 

(1)専門化の原則:組織の構成員が、細

かく分けられた仕事のひとつを専門的に行

うようにするという原則。


このことにより、ひとりに割り当てられる

仕事が単純になり、そして各々の仕事の習

熟度が高まるため、組織全体として仕事が

効率的に行えるようになる。

 

(2)権限責任一致の原則:負わされる責

任はそれに相応する権限をともなはなけれ

ばならず、また、与えられる権限もそれに

相応する責任をともなわなければならない

という原則。


また、これらの権限と責任は、組織内の職

位(階層)に基づいて与えられたり負わさ

れたりするものでなければならない。

 

(3)統制範囲の原則:上司ひとりあたり

が指揮・監督する部下の数を適正にしなけ

ればならないという原則。


これについては、明確な基準はありません

が、直接部門については30人程度まで、

間接部門については10人程度までと言わ

れており、この範囲を超えると、上司の部

下に対する指揮・監督の効率が下がること

になります。

 

(4)命令統一性の原則:組織の構成員は

ひとりの上司からのみ命令されるという原

則。


これは、部下が上司のさらに上司から命令

されたり、他の部署の上司から命令を受け

たりすることによる、指揮系統の混乱を避

けるためのものです。

 

(5)権限移譲の原則:上司が部下に権限

の一部を委譲することによって、仕事の効

率化を図るべきであるという原則。


定型的な仕事は、問題が発生しても定めら

れた手続きで解決できることが多いことか

ら、権限移譲を行いやすいといえます。


この権限移譲により、上司は、例外的な判

断や仕事に専念できるようになります。

 

これらは、至極当然のことを述べていると

感じる人が多いと思いますが、その一方

で、原則が守られていない組織も多いと感

じることがあります。


例えば、部下に責任は負わせているもの

の、それに見合った権限を与えておらず、

いつまでたっても部下が責任を果たすこと

ができない状態が続いていたり、経営者が

部下に権限移譲しないために、経営者に判

断業務が集中してしまい、会社全体として

効率的な動きができていないという例を見

ることは少なくありません。


単純なことですが、前述の5つの原則がき

ちんと自社で実践されているかどうかを点

検するだけでも、組織が現状より活性化す

る可能性が大きいと思い、今回は、組織の

管理原則について取り上げてみました。

 

 

 

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従業員満足度と顧客満足度の罠

日本マクドナルド、とんかつ新宿さぼてん

のOBで、経営コンサルタントの松下雅憲

さんのご著書、「店長のための『スタッフ

が辞めないお店』の作り方」

( https://amzn.to/2LO6SNZ )を拝読しま

した。


同書は、飲食店の現場に長い松下さんのご

経験から、どうすればスタッフを定着させ

ることができるかというノウハウが、豊富

に、かつ、体系的に解説されています。


その中で、私が最も注目したことは、従業

員満足度と顧客満足度の罠です。


私は、現在は、従業員満足度(ES)が高

くなければ、顧客満足度(CS)は高くな

らず、CSが高くなければ売上も利益も増

えないと考えています。


一方で、飲食店(に限りませんが)の現場

では、CSは大切かもしれないがもうけの

方が先だとか、CSだけでなくESも高め

なければならないということになると店長

の負担が増えるだけだ、という誤解が多い

と私は感じています。


すなわち、利益以外にも、CSやESとい

う目標が増えるのは非効率と誤解している

人が多いということです。


本来は、利益を得るためには、CSを高め

る必要があり、CSを高めるにはESを高

める必要がある、すなわち、CSとESは

最終的な目標である利益を得るための過程

なのですが、このように理解している人は

意外と少ないようです。


そのような誤解が広まっている原因にはさ

まざまなものがあると思いますが、松下さ

んは、その原因のひとつとして、「ESと

CSの罠」について説明しておられます。


松下さんは「ES向上→CS向上→売上増

加」という考え方は間違っていないが、勘

違いもしやすいと述べておられます。


なぜなら、「ES向上だけではCSは向上

せず、CSを向上させるだけでは売上は増

えない」からだそうです。


そこで、「CS向上がES向上になるよう

に仕掛け、売上増加がCS向上の証拠にな

るように仕掛ける」ようにするとよいそう

です。


その例として、松下さんは、ある居酒屋の

事例を紹介しています。


その居酒屋では、CS向上のために「90

分飲み放題」を利用している顧客に、コッ

プの中が空になったらお代わりを薦めると

いう作戦を実施したそうです。


こうすることでCSが向上し、リピート利

用につながり、売上が増えると店長は考え

たそうです。


しかし、その作戦によって売上は増えたも

のの、提供する飲み物の量も増えたため、

利益の増加にはつながらなかったそうで

す。


そこで、お代わりを薦めるときは、「当店

ハイボールはお薦めですよ!」と提案し

て、ビールより原価の低いハイボールの注

文を増やしたり、「そろそろ飲み放題の時

間が終わりますが、お得な30分の延長は

いかがですか」と、延長を薦めた結果、売

上とともに利益も増加しました。


もちろん、自分たちの作戦が奏功すれば、

スタッフの満足度も高まります。


このように、利益、ES、CSを同時に

達成できるような仕掛けを作ることが大

切と松下さんは述べておられます。


なお、松下さんは直接は触れていません

が、ESの高い職場ではスタッフの定着

率が高まるので、採用や育成の負担が減

り、利益の増加に寄与します。


一見、ESとCSの向上は負担と感じま

すが、松下さんのご指摘のように、上手

な仕掛けがあれば、ES向上→CS向上

→利益増加という好循環を生み出すこと

ができるということが、松下さんのご著

書でよく理解できました。

 

 

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コンサルタントの支援を受ける条件

これは私が感じているという前提ですが、

多くの中小企業経営者の方がコンサルタン

トに期待していることは、自社がピンチに

なったときに現れて、その問題をパッと解

決してもらえることだと感じています。


私の場合、銀行で働いていたことから、よ

く、銀行から融資を断られた会社経営者か

ら、銀行を説得して融資を受けられるよう

にして欲しいという依頼を受けます。


営業系コンサルタントなら、売上が減少し

てしまったときに、売上を直ちに回復して

くれるようなことを期待されるでしょう。


このように、自社が窮地に立った時に、そ

の状況を直ちに改善してくれるコンサルタ

ントがいつでもすぐに現れてくれたら、経

営者の方にとっては心強い味方でしょう。


ところが、コンサルタントの立場からすれ

ば、このような顧問先は歓迎しません。


ピンチから助け出す支援をすることはでき

るとしても、それは、最初の1~2回まで

で、それ以上に何度もピンチになると、そ

こから抜け出すことは現実的に難しいとい

う事情もあります。


でも、もっと問題なのは、ピンチになった

ことから何も学ぶことなく、何度もピンチ

に至っててしまうのであれば、その会社の

経営者は、経営者としての資質がないとい

うことです。


少し言葉としてはきついですが、ピンチに

なったら誰かに助けてもらえるということ

であれば、どんな人でも経営者になること

ができます。


さらに、ピンチのとき「だけ」助けを求め

るということも虫がいいということになり

ます。


これは、単に虫がいいということよりも、

会社がピンチになりさえしなければそれで

よいという、目標の低さが問題であると思

います。


一方で、業績のよい会社は、自社がピンチ

でなくても、常に改善点はないかを探求し

て、さらに自社の体質を強くしようと努め

ています。


しかし、業績の芳しくない会社は、自社に

脆弱なところがあっても、危機が表面化す

るまでなかなか対策を打とうとしない傾向

にあると私は感じています。


このような、経営者の方の事業に臨む姿勢

が、会社の業績の良しあしの要因の大きな

部分を占めているのではないでしょうか?


しかしながら、経営者の方の姿勢が積極的

でないとき、それをよい方向へ変えること

はなかなか難しいと感じています。


コンサルタントとして、会社のピンチを助

けたいと思う一方で、もっと根幹的な部分

で経営者の方の姿勢が変わらなければ、早

晩、その会社の事業は行き詰ってしまうこ

とになるでしょう。


そうであれば、コンサルタントとしても、

その会社に対して支援することに意味を感

じなくなってしまいます。


もちろん、コンサルタントにも能力に差が

ありますが、腕の良いコンサルタント

あっても、経営者自身に強い改善の意思が

なければ、事業の改善のための支援に手こ

ずるだけでなく、コンサルタント側にも支

援をしようとする意欲がなくなってしまい

ます。


結論のひとつは、まず、経営コンサルタン

トに過剰に依存的になってはいけないとい

うこと、ふたつめは、自らが高い目標や志

を持たなければ、コンサルタントからも積

極的に協力をしてもらえなくなるというこ

とです。

 

 

 

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苦しい時に備えるための資金繰のルール

今回も、前回の記事でご紹介した、野坂英

吾さんのご著書「資金30万円から100

億円企業をつくった社長が教える勝ち続け

る会社をつくる起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )の中から、

会社の資金繰の維持に参考となる記載があ

りましたのでご紹介したいと思います。


リユース商品のお店を展開していた野坂さ

んは、年に1~2ずつ店舗を増やしてきて

8つとなったときに、いちどに6つの店を

増やそうとしたときがありました。


その際、出店コストなどで半年間赤字が続

いたとき、資金繰が苦しくなったという経

験をしたそうです。


その経験から、業績がよいときであっても

業績が悪くなったときに備えてきちんとし

た資金調達をすることにしたそうです。


具体的には、次のようなことを心がけてい

るそうです。

 

(1)安易に融資を受けない:最近は資金

調達が容易になっているが、必要以上に手

元に資金があると、投資判断が甘くなるの

で、最低限の融資しか受けないようにして

いる。


(2)長期融資を増やし、短期融資を減ら

す:短期借入は、業績が悪くなった時に、

銀行から借換の承認をもらいにくくなるの

で、仕入れ代金支払いのための借入は、短

期借入だけでまかなわないようにしてい

る。


(3)複数の銀行と取引する:メインバン

クを持つことは大切だが、リスクヘッジ

する観点から、他の銀行とも取引をするこ

とが望ましい。


(4)資金流用をしない:新店舗出店のた

めに借りたお金を運転資金に流用すると、

返済方法が分かりにくくなるだけでなく、

お金の管理がルーズになるので、流用は避

けなければならない。


(5)目先のことだけを解決しようとしな

い:資金繰の苦しそうな同業者から、お金

を工面するために、原価割れでリユース

品の買取を依頼されることがあるが、この

ような安易な方法で目先の資金繰が解決で

きると考えてしまうと、きちんと利益を出

して資金繰を改善しようとする努力を怠っ

てしまうようになるので、避けなければな

らない。


私は、これらのいずれも大切な考え方だと

思いますが、(4)と(5)は特に大切だ

と思います。


資金繰に苦心している会社経営者の多く

は、「借りられさえすればそれでいい」と

考えがちで、返済することまでは考えが及

んでいない方が多いようです。


でも、借入をきちんと返済することが、次

に融資を受けるときの負担を減らすことに

つながります。


融資に悩んでいる経営者の方は、手元のお

金がなりかけたときに右往左往するという

傾向がありますが、野坂さんのように、

「業績がよいときから、業績が悪くなった

ときに備え」て資金調達しておくことが、

最も効果的で負担の少ない融資対策だと思

います。

 

 

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教育することがビジネスそのもの

今回も、前回の記事でご紹介した、野坂英

吾さんのご著書「資金30万円から100

億円企業をつくった社長が教える勝ち続け

る会社をつくる起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )の中から、

さらに気になるポイントがありましたので

ご紹介したいと思います。


私も顧問先の事業改善のお手伝いをする中

で、従業員の方の育成には、経営者の方と

一緒に苦心した経験があります。


相手が個性を持った方たちですから、そう

簡単には経営者の方の思うようにならない

のが、人材の育成です。


これについては、著者の野坂さんもご苦労

されたようです。


野坂さんも、創業当初はなんでも自分で実

践してみないと気がすまなかったそうです

が、事業規模が拡大するにつれ、その限界

を感じ、人材を育成して仕事を任せなけれ

ばならないことに気づいたそうです。


そこで、「事業の拡大=人材の育成」とい

うように考えるようになったそうです。


ところが、当然、その人材の育成は一朝一

夕に行かなかったそうです。


だからといって、決して、野坂さんが何か

魔法のような手法を編み出したということ

でもないようです。


それは、結論として、野坂さんの視点を変

えたということのようです。


すなわち、「育たない人はいない、人が育

つかどうかは経営者次第」と考えるように

したそうです。


具体的には、次のように考えて部下に接し

ていたそうです。


(1)創業時は自分も素人であったことを

思い出し、初心者の立場にたって部下に仕

事を教えるようにする。


(2)経営者が望む能力の70%を最低ラ

インとする人が多いが、それは部下から見

れば150%の完成度を与えられていると

感じてしまうので、経営者が望む能力の

50%を達成できれば部下を認める。


(3)多くの人を採用すると、まったく仕

事ができない人も入ってくるので、そのよ

うな人に合わせて指導ができるような工夫

をすること。


主に以上のように野坂さんは考えていたそ

うですが、まさに人材育成に王道なしとい

うことなのでしょう。


多くの経営者の方は、効率的に、簡単に、

短期間で即戦力となる人材が欲しいと望ん

でいると思いますが、私は、そのような考

え方はあまり現実的ではないと経験的に感

じています。


なぜなら、すでに優秀な状態になっている

人材を雇うには、それなりの報酬や、会社

の職場環境が必要になります。


これについては、野坂さんもご著書に書い

ていますが、「創業期に、ひとりでに優秀

な人が来てくれるようなことはまずない。


海のものとも山のものともわからないよう

ベンチャー企業に、誰が見ても優秀な人

材が入ってくる確率は低いだろう。


しかし、それを嘆いていても何も前に進ま

ない。


そこで、経営者が考えるべきことは、いま

会社で働いてくれている人の実力をいかに

高めるべきかであり、まだまだ原石の状態

のスタッフを育て上げていくしかない。


仕事ができない人たちをしっかりと教育す

ることが、ビジネスそのものであると考え

ることが大切だ」(138ページ)


今回の結論は、野坂さんの言葉の通り、

「教育することが、ビジネスそのもの」で

あり、それは効率化したり省いたりするこ

とができない、経営の所与の課題だという

ことです。


現在は、経営者の方がこれを認識していな

いと、起業に失敗してしまう可能性が高く

なると私は考えています。

 

 

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30人、100人、300人のカベ

今回も、前回の記事でご紹介した、野坂英

吾さんのご著書「資金30万円から100

億円企業をつくった社長が教える勝ち続け

る会社をつくる起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )の中から、

もうひとつ気になるポイントがありました

ので、ご紹介したいと思います。


それは、おおよそ次のようなものです。


「開業当初は、自分の言うことを素直に聞

いてくれそうな人ばかりを採用していた。


初期のうちは、それでうまくいったので、

正解だったと思う。


しかし、従業員数が30人を超えても、同

じタイプの従業員ばかりを雇っていると、

成長が頭打ちになる。


自分は、新たなことにはチャレンジするが

あまり拡散しないタイプだった。


しかし、真逆のタイプの人と仕事をするこ

とで、思いもよらない方向に事業を拡げて

いけるという可能性があることから、採用

の方針を変えた。


ただ、そのような人は、良薬となることも

あるが、劇薬にもなる可能性がある。


そこで、社内のリーダーには、会社を成長

させるために、当社にいなかったような感

性を持った人材を取り入れ、新しい取り組

みをしていくことにしたと理由を説明し、

協力を得ることで、新しい人材が劇薬では

なく良薬となるように対処してきた。


次に、従業員数が100人近くになると、

それまで共有できていた『暗黙の了解』が

機能しなくなる。


そこで、『暗黙の了解』をルールに落とし

込み、人が代わっても質を落とさない仕組

みが必要になる。


さらに、従業員数が100人を超えると、

コミュニケーションの維持が難しくなる。


当社では、毎年、社長が全社員と30分ず

つの面談をしていたが、従業員数が100

人を超えてから、その継続が難しくなり、

面談を役員で手分けするようにした。


しかし、300人を超えるとそれも難しく

なり、面談を課長や店長に任せるようにし

た」というものです。


すなわち、会社の規模が大きくなるにつれ

て、タイプの異なる人材の確保、ルールの

明文化、権限の委譲などの対応が必要にな

るということを野坂さんの経験からご説明

されておられます。


これについては多くの方がご理解されると

思います。


しかし、これを実践している会社は少ない

と私は感じています。


例えば、経営者の方が「売上高を増やした

い」という意向を持っていながら、その一

方で、組織規模を大きくするための具体的

な活動が実践できていないために、自らの

考えを実現できないという会社を見ること

がしばしばあります。


売上高を増やすには、経営者の方がたくさ

ん働けばよいという考え方は必ずしも誤っ

てはいませんが、それは、事業規模が小さ

い段階にのみ当てはまることです。


これも多くの方が理解していると思います

が、事業規模が大きくなるにつれて、経営

者の方は、軸足を事業現場からマネジメン

トに徐々に移さなければならなくなってい

きます。


ただ、実際には、軸足を移すことはなかな

か難しいようだということも、経験的に理

解しています。


というのは、多くの経営者は、事業のスキ

ルに自信があるから起業しており、マネジ

メントのスキルに自信があるから起業する

という方は少ないからのようです。


(そういう自分も、その一人です)


とはいえ、マネジメントスキルは、実際に

起業してから学ぶことも可能だと私は考え

ています。


そこで、繰り返しになりますが、経営者の

方が、事業を拡大しながら、事業現場から

徐々にマネジメントに注力するようにする

ことが、組織拡大、売上増加につながるポ

イントになると私は考えています。


今回の結論は、会社の成長にしたがって経

営者が携わるべき仕事の比重も変わってく

るので、いま、売上が伸び悩んでいる会社

経営者の方は、組織拡大のために軸足を現

場からマネジメントに移していくことをお

薦めするということです。

 

 

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勝ち続ける会社をつくるには

1995年に、リユース商品販売業のトレ

ジャーファクトリーを創業し、2007年

東証マザーズに上場(2014年に1部

へ市場変更)させた野坂英吾さんのご著書

「資金30万円から100億円企業をつ

くった社長が教える勝ち続ける会社をつく

る起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )を拝読しま

した。


この会社には、事業を大きくしようとして

いる会社経営者の方にとって大いに参考と

なる事例が豊富に書かれていますが、経営

コンサルタントとして中小企業の支援をし

ている私にも共感できることがたくさん書

かれていたので、その中からいくつかのポ

イントをご紹介したいと思います。

 

(1)好きなことをで起業しない


成長を念頭に置いて起業するなら、好きな

ことを起業の基準にしない方がよい。


なぜなら、ビジネスの選択の幅が狭まって

しまったり、好きなことに対しては客観的

な視点が持ちにくくなったりするからだ。


例えば、ギターを好きな人がギター店を開

業すると、自分の好きなブランドだけを

扱ったり、廉価版は扱わなかったりするな

どして、客層を限定してしまう。

 

(2)業界の常識にとらわれない


リユースショップを開業する前に、既存の

リユースショップ48店を見て回り、店主

から話を聞いたりした。


その結果、この業界には事業の改善の余地

があることが分かった。


例えば、商品を汚れたまま陳列している、

故障に対する保証をしない、商品に値札を

つけないなど、他の業種では当たり前のこ

とをしていなくても、リユースショップ業

界ではそれが当たり前になっていることが

分かった。


そこで、自分がリユースショップを開業し

たらば、値札をつけ、保証を行い、きちん

と接客するだけでも大きく差別化できると

確信した。

 

(3)事業計画書はビジネスを磨く


事業計画書を作成すべき理由は2つあり、

そのひとつは、現実を正しく理解するため

だ。


計画を立てずに事業を始めた時と異なり、

計画を立ててから事業を始めれば、実績と

の乖離を確認することで、自社の業況がよ

いのか悪いのかを把握することができた

り、計画とのギャップが大きいときはそれ

を究明することで改善策を講じることがで

きる。


もうひとつは、先輩経営者やアドバイザー

から有用なアドバイスをもらえるようにな

るからだ。


自分で作った事業計画書は、売上、客数、

コストを甘く見積もりがちだが、それを他

者に見せるとさまざまな指摘をしてもらう

ことができ、計画をブラッシュアップする

ことができる。


もし、事業計画書がなければ、そのような

アドバイスをしてもらうことができない。

 

ここまで3つのポイントを引用しました

が、これらがなぜ大切かということを改め

て説明する必要はないでしょう。


では、なぜこれらのポイントを引用したか

というと、これらは大切だと認識されなが

らも、なかなか実践はされないものの代表

的なものだからです。


事業を起こした方の中には、自分の好きな

ことを事業にしたい、見込み客からどう評

価されるかにかかわらず自分たちのやり方

で事業をしたい、事業を営むことが最も重

要なのだから、計画を作る必要性はない、

または、あえて他者から助言をもらうよう

なことは必要ない、と考える人が少なくな

いと、私は経験的に感じています。


だからといって、経営者の方は、自分のや

りたいことを我慢して、前述のようなポイ

ントを優先して実践するべきだということ

も、直ちに言えないと思っています。


なぜなら、自らがトップに立ち、リスクを

とって起業したにもかかわらず、自らのや

りたいことがなかなかできないということ

になれば、起業しようと考える人が少なく

なってしまうからです。


ただ、経営者の方が、自分の要望を優先し

すぎてしまうことも、野坂さんが指摘して

いるとおり、事業が拡大せず、結果として

経営者の方の思いも実現できなくなってし

まいます。


この問題については、最終的には、経営者

の方がどこで折り合いをつけるかというこ

とになると思います。


ただ、これは私の考えなのですが、自社の

事業を大きくしたいと考えている経営者の

方は、いったん、事業を大きくすることそ

のものを自らの目標とすればよいのではな

いかと思っています。


事業を大きくすることを目標とすれば、そ

のためには野坂さんの指摘するようなポイ

ントも能動的に実践できるようになるので

はないでしょうか?


そして、事業がある程度大きくすることが

できれば、もともと自分がやってみたいと

考えていた事業へも展開できる余裕が出て

くるものと私は考えています。

 

 

 

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