鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

みかん10個の法則

[要旨]

10個のみかんを3人で分けようとするとき、2人に4個ずつ分け、自分が2つ受けとると、他の人から1個譲ってもらえることがあります。このような姿勢で他の人に接していると、自分の周りには自分と同じ考えの方たちが集まって来る傾向があります。したがって、会社経営者の方も、周りの人を慮る姿勢で活動することで、自社をよりよい環境にすることが可能になると考えることができます。


[本文]

今回も、経営コンサルタントの杉浦央晃さんのご著書、「もし明日自分が死んだら-残された我が子に親父から伝えたい10の言葉」を読んで、私が気づいたことについて述べます。前回は、多くの人が、面倒であるにもかかわらず、毎日、努力をせずに、歯磨きををしているように、面倒であっても継続することで、それを実践するための労力が不要になって行くので、経営者の方も、避けたいと思うことがあっても、それを継続することで、労力が少なくなっていくことから、避けたいと思うことを継続できるようになるかどうかが、経営者の能力を高めるための鍵になると考えられるということを説明しました。

これに続いて、杉浦さんは、みかん10個の法則について述べておられます。「ある日、手元に10個のみかんをもらいました。君は、2人の友達と、自分を入れた3人で、そのみかんをわけようとします。さて、どんな方法で10個のみかんを3人で分けますか?(中略)きっと、多くの人が、1人3個ずつでわけ、そして、のこりのみかんを三等分すると答えるでしょう。

でも、成功している経営者は違うのです。友達2人に、4つのみかんを与え、自分が2つのみかんを取るのです。これは、先に与えるとか、ギブをするという、簡単な発想ではありません。4つのみかんをもらった2人は、その後、どうなるでしょうか?Aさんは、4つもらったことで、大喜びで帰って行きました。しかし、Bさんは、『あなたは2つしか受け取っていないから、私のみかんを1つあげるよ』と言うのです。

さて、あなたは、今後、AさんとBさんのどちらと付き合いたいと思いますか?当然Bさんです。そして、これを、日々、続けて行くと、どうなると思いますか?Aさんは、自分だけたくさんもらったことで、後ろめたい気持ちになり、疎遠になっていきますので、当然、Aさんとの付き合いは減って行きます。そして、Bさんのような心の優しい仲間がどんどん増えていくのです。(中略)僕は、ギブ・アンド・テイクの本質は、ここにあるのだと思います」

私は、これを読んだとき、二宮尊徳の教えの「たらいの水」を思い出しました。すなわち、「たらいの中の水を自分のほうにかき集めれば、その水は反対側へ逃げてしまうけれども、逆に、水を相手にあげようとして水を押しやれば、その水は自分のほうに戻ってくる」というものです。そして、みかんのお話にしても、たらいのお話にしても、要は、「情けは人の為ならず」ということであり、多くの先人たちがこのような法則をいろいろな表現方法で私たちに伝えてくれているのだと思います。

そこで、問題なのは、これを実践するかどうかだということだと思います。例えば、「わが社は中小企業だから、よい人材がなかなか集まらない」と考えている経営者の方は、「わが社を、優秀な人から働きたいと思ってもらえるような会社にしよう」と考えればよいのでしょう。また、「わが社は、銀行がなかなか融資してくれない」と考えている経営者の方は、「わが社を、銀行が融資したいと評価してくれる会社にしよう」と考えればよいのでしょう。

もちろん、そう考えただけで、直ちに状況が変わるわけではありません、そういった姿勢で活動していけば、そう遠くない将来、それが現実化していくでしょう。私も、この記事を読んでくれる読者が増えて欲しいと思っているわけですが、そのためには、これからも研鑽を重ね、多くの人から読みたいと思ってもらえるような内容を書こうとする姿勢で、記事を書き続けたいと思います。

2023/9/1 No.2452