鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ピッパ力

[要旨]

経営コンサルタントの杉浦央晃さんによれば、「ピッパ力」、すなわち、他者の助言を直ちに行動し、現状を変えようとする能力が大切ということです。しかし、経営コンサルタントに相談する経営者の方の中には、助言を求めるものの、それを実践しない方もいるため、事業は改善せず、助言が無意味になってしまうこともあるので、現状を改善しようとする意思の強さが重要です。


[本文]

経営コンサルタントの杉浦央晃さんのご著書、「もし明日自分が死んだら-残された我が子に親父から伝えたい10の言葉」を拝読しました。杉浦さんは、ご子息が卵アレルギーのため、アイスクリームが食べられなくなったことから、会社員を辞め、卵アレルギーでも食べられるアイスクリームの通信販売を始めました。その事業は、当初はうまく行かなかったのですが、いろいろな人からの助言を得てそれを実践し、また、自らも数多くの試行錯誤を経て、軌道に乗せることができたというご経験をお持ちです。

その後、杉浦さんは、ご自身のご経験を活かし、経営コンサルティングも行うようになったのですが、助言を求めてきた経営者について、次のように述べておられます。「僕は今、経営コンサルをしてます。主に、個人事業主さんや、5名以下の中小企業の社長さんがほとんどです。多い時は、年間で500件の相談を受けていました。彼らは、最初から聞く耳を持って相談に来てくれます。だからこそ、真剣にアドバイスをさせてもらっています。

しかし、コンサルとは別で知り合った人達は、当然、最初から聞く耳がありません。そんな人達に、『どうしたら経営は上手くいくのかな?』と質問を受けた時、いつもあの日の自分と重なります。僕は、彼(かつて、杉浦さんに助言をしてくれ、それが業績の回復のきっかけとなった、著名なブロガー)と同じように、『ブログをやったらどうですか?』とお伝えするのですが、『あ~ブログね~今、流行りだよね~僕は文章書くのが苦手だから無理だよ』と言われて笑われるのです。

当然、その後、教えて下さいと言われたことはありません。教える側になった時、聞く耳を持たない人に、何をアドバイスしても無駄だと知ったのです。と言うことは、その人は、自らのピッパのチャンスを逃していることになるのです。ピッパ力とは、何かに挑戦する能力と書きましたが、実は、その前にピッパしたいと思うことを引き寄せなければ、ピッパ力に挑戦出来ないのです」

「ピッパ力」とは、杉浦さんが、それを杉浦さんに教えてくれた知人の造語のようですが、「ピッときたらパッと行動すること」という意味のようです。そして、杉浦さんは、それを「現状を変えたい時、一番簡単な能力」とも述べておられます。しかし、これも、杉浦さんがご指摘しておられるとおり、経営コンサルティングを受ける経営者の方の中には、一部ですが、「ピッパ力」を持たない方もいます。すなわち、口では業績を改善したいと言いながら、行動面では挑戦はしない方がいるということです。

ただ、そのような方は、繰り返しになりますが、顕在意識では事業を改善したいと考えているのだと思います。ただ、潜在意識では、変化を避けたいと考えているので、助言をきいても、それを行動に移すところまでに至らないのでしょう。しがたって、事業改善は、頭で考えるだけでなく、行動できるところまで強い意思をもつことができるかどうか、すなわち、「ピッパ力」を持つことができているかどうかが重要だということを、杉浦さんの本を読んで、改めて感じました。

2023/8/28 No.2448