鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

素直力

[要旨]

経営コンサルタントの杉浦央晃さんは、他者からの助言は素直に実践することが重要と述べておられます。確かに、他者の助言が100%正しいとは限りませんが、人は無意識のうちに自分の苦手なことを避けようとしてしまいます。だからこそ、素直に他者の助言を実践することで、成功する確率が高まると言えます。


[本文]

今回も、経営コンサルタントの杉浦央晃さんのご著書、「もし明日自分が死んだら-残された我が子に親父から伝えたい10の言葉」を読んで、私が気づいたことについて述べます。前回は、他者の助言を直ちに実践し、現状を変えようとする能力である「ピッパ力」が重要であり、それをともなわないと、他者から助言をもらっても、それらをあまり実践せず、結果として、現状が改善しなくなるということを説明しました。これに続いて、杉浦さんは、「素直力」が大切ということを述べておられます。

「多くの人がアドバイスを受けても、自分の都合のよい部分だけを受け止め、都合の悪いところはフェードアウトする傾向があります。自分が目指しているフィールドで、先を走っている先人のアドバイスなのですから、都合の良い所だけをマネするなんて、バカげています。(中略)『素直力』の神髄は、何が何でも、とことん素直に聞く能力で、自分の考えや思いなんていうのは、後回しで、とにかく良くも悪くも、何でも言われたことをやるということなのです。イケてない経営者ほど、『いや~私の考えは…です』と、必ず自分の意見を主張するのです。

自分の意見を言うなということではないので、誤解して欲しくないのですが、その道のプロに教えてもらっているのに、どうしてアマチュアの自分が意見をするのだろうか?僕は、子どもの頃、野球をしていたのですが、バッティングを教えてもらっている時に、監督やコーチに、『いやぁ、僕の考えはですね…』なんて意見を言った日には、グラウンドを何周走ることになるだろう。君(杉浦さんのご子息)が本気で何かを学びたいとか、本気で自分を変えたいと思っているのなら、先人の話しに耳を傾け、素直に聞かなければ、進歩も成長もないのです」

この杉浦さんの説明を読むと、「コンサルタントの助言が、必ずしも100%正解と限らないのに、疑問を持たずに受け入れることは本当に妥当なのか?」感じる人もいるかもしれません。私も、確かに、そういう面があると思います。しかし、ここまで杉浦さんが言い切るのは、杉浦さん自身のご経験があるからのようです。というのは、人は、他人の助言を否定するとき、本当は、それが苦手で、実践したくないので、「効果がない助言だ」と正当化していることも少なくないからです。

杉浦さんも、起業2年目で、先輩経営者から、交流会に参加するよう助言されたそうです。でも、杉浦さんは人見知りな性格なので、渋々交流会に参加していたそうです。そして、起業3年目に、再び先輩経営者から自主開催のセミナーを開くよう助言を受け、それを実施したそうです。とはいえ、杉浦さんは人見知りの性格を克服できたわけではないそうです。それでも、セミナーを自主開催することで、人脈を広げることができたそうです。

そして、もし、杉浦さんがセミナーを開催することを拒んでいたとしたら、その差は大きかったと感じているそうです。繰り返しになりますが、他者からの助言は100%正しいとは限りません。しかし、自分の判断も100%正しいわけではありません。そうであれば、自分とは異なる経験をしてきた人の考え方を受け入れてみることの方が、成功する確率は高くなるのではないかと、私も考えています。

2023/8/29 No.2449