鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

情報化武装はリテラシーが重要

[要旨]

情報化武装は前向きに評価する経営者の方は少なくないようですが、それを使いこなす能力がなければ、十分な効果を得ることができません。したがって、情報化武装にあたっては、導入する会社のリテラシーも高めることが欠かせません。


[本文]

前回に引き続き、経営コンサルタントの小山昇さんのラジオ番組にゲスト出演されておられた、はせがわ整形外科医院長の長谷川恭弘さんのお話について、ご参考になると感じたことについて書きます。長谷川さんは、小山さんの指導に基づき、医院の診察状況などについて、データを収集し、それを活用しているそうです。例えば、受付→診察→レントゲン撮影→処置→リハビリといった、患者の受診の工程で、それぞれ、どれくらいの時間がかかるのかを、データとして蓄積しているそうです。

そして、それを分析して、所要時間が長い工程を改善することで、全体として、患者の街時間を減らすことができるようになったそうです。このような改善活動によって、はせがわ整形外科医院では、年間で延べ10,000人の患者が増えたそうです。ただし、番組では、増加数だけが述べられており、増加前の患者数が分からないので、10,000人の増加のインパクトがどれくらいなのかは正確には分かりませんが、営業日数が年間約200日とすれば、1日あたりの増加数は約50人なので、決して少なくない増加数と思います

ところで、これに関し、小山さんは、データをマネジメントに活かすことが大切とお話しておられました。すなわち、データを収集して分析するだけでは遊びだ、データをマーケティングに活用すれば、やや効果がある、しかし、データから改善点を見つけ出し、実際に改善に着手すれば、職員も楽になり、業績も向上する、というものです。情報化武装については評価する経営者は多いと思いますが、この情報化武装の落とし穴は、新しいシステムを導入した会社に、それを十分に使いこなせる能力がないと、情報化投資が無駄になってしまうということです。

これも言及するまでもないことですが、情報化武装は、新しいシステムを導入するだけでよいと考えられがちですが、それは、情報化武装の一部です。本来は、従業員の方がシステムを使いこなす能力と、経営者の方が情報システムを経営に活用する能力が求められるのですが、それらの能力を持つことができないために、情報化武装に失敗し、ライバルにさらに差をつけられてしまう例が少なくないと、私は感じています。繰り返しになりますが、情報化武装は、活用する側の能力も大切です。

2021/11/23 No.1805

f:id:rokkakuakio:20211122224411j:plain