[要旨]
事業規模の小さい組織では、経営者の方は事業活動に関心が向きがちであり、収支状況の改善については、あまり目が向かないことが多いようです。そのような状況が続けば、収支状況が悪化してしまっても、そのことに気づいたり、改善活動に着手しなかったりするので、注意が必要です。
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経営コンサルタントの小山昇さんのラジオ番組にゲスト出演されておられた、はせがわ整形外科医院長の長谷川恭弘さんのお話を聴きました。長谷川さんは、かつては、医院の収支状況について、顧問税理士の方から、毎年、10分間程度しか、説明をきいていなかったそうです。ところが、ある年、その税理士の方から、「今年は税金が少なくなってよかったですね」と言われたそうです。
長谷川さんは、そのことが気になり、医院の収支状況をよく見てみたら、収入が減少傾向にあり、このままでは赤字になってしまうということが理解でき、小山さんからコンサルティングを受けることにしたそうです。ここまでの内容は、長谷川さんがとても油断をしていたというものなのですが、長谷川さんのように、自らが経営する組織の収支状況について、詳細に把握していない経営者の方が、割合としては多いと感じています。すなわち、自社の収支状況を詳細に把握している経営者は少数派ということです。
さらに言えば、長谷川さんは、医院の減収傾向に気づいてからは、それを改善しようと決断しましたが、経営者の方の中には、会社が赤字になっても、新たな融資を受けて急場をしのぐことしか行おうとせず、根本的な課題である、事業の赤字体質の改善までは着手しない方も、少なくないようです。話を戻して、経営者として会社の収支状況を把握することさえしていなければ、風任せの成行で事業に臨んでいるだけではり、経営者として必要な管理活動は行っていないということになります。
中小企業では、「経営者」という肩書を持っている人も、事業活動に携わっていることは珍しくありませんが、単に事業活動をしているだけであれば、肩書通りに経営者としての活動をしていることにはなりません。長谷川さんは、数年前まではそのような状況にあったわけですが、経営者の方は、管理活動に軸足を置かなければならないということを、長谷川さんの事例から、多くの経営者の方が学んでいただきたいと感じました。
2021/11/22 No.1804