鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

財務管理の真の意味を信奉する

[要旨]

ITTは、財務管理によって正確な事実を把握していたことから、適切な経営判断を行うことができ、業績を伸ばしてきました。そのことは、自社の強みであると同時に、銀行からの大きな信頼を得る要因になっていたことから、同社は、資金調達に労力を要しませんでした。


[本文]

今回も、ITT元社長の、ハロルド・ジェニーンの著書、「プロフェッショナルマネジャー」の中から、参考になると思われた内容についてご紹介したいと思います。「20年以上にわたる、ITTの目覚ましい不断の成長を可能にした大きな理由は、ITTの特色として喧伝される、緊密な財務管理に加えて、それらを”通して”読み、そうした数字が何を意味し、何を要求しているかを考えるのが、われわれの能力だった。

数字の徹底的検討は、われわれが自由に勇気をもって行動できるようにしてくれた。拡張や買収のための資金を借りるのに困難したことはなかった。銀行、その他の金融機関は、強力な財務管理の、真の意味を固く信奉しているわれわれを認めてくれた。したがって、われわれは、キャッシュ枯渇の危険にさらされることは、まったくなかった」

ジェニーン氏は、自社の財務管理が、会社の強みであり、かつ、銀行からの資金調達に有利に働いたと述べています。しかし、このジェニーン氏の自社に対する分析について、注意しなければならないと私が考えることは、ITTは財務管理に強みがあっただけではなく、正確な財務管理ができたからこそ、それが適切な経営判断もできるようになったということです。

単に、財務分析ができるだけでは、強みにはならないでしょう。したがって、私は、ITTの強みは、財務管理によって正確な事実を把握し、適切な経営判断を行ったことだと思います。ただ、ジェニーン氏は、そのことを、「強力な財務管理の、真の意味を固く信奉している」と表現したのでしょう。いずれにしても、財務に強い会社が業績を伸ばすことができるということです。

2021/11/21 No.1803

f:id:rokkakuakio:20211120223101j:plain