[要旨]
銀行は、当座の資金繰の支援はできるものの、会社に利益をもたらす相手は、銀行ではなく顧客なので、経営者の方は、利益を得るための活動に最も注力しなければなりません。そのような姿勢で事業活動に臨んでいれば、自ずと銀行からも協力を得られるようになるでしょう。
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これは、私が以前から述べていることなのですが、会社が黒字の状態を続けていれば、銀行からは魅力的な会社として評価されるので、融資を受けようとするときに、あまり労力を必要としません。とはいえ、現在は、業種によっては厳しい経営環境にあるため、利益を得ることは、確かに容易ではありません。
そこで、赤字の会社は、銀行からの支援を得るために、ある程度の労力が必要になることがあります。これに対して、銀行も、赤字だからという理由だけで、直ちに融資を断るようなことはしないでしょう。その結果、会社が赤字になっただけでは、直ちに事業が行き詰るということはありません。
ところが、融資を受けることができれば、ある程度の期間は事業を継続させることができるので、利益を得ようとする努力はあまり行わず、銀行から融資を受けることばかりに、労力を割こうとする会社も少なくありません。そのような会社の経営者は、銀行が追加の融資に難色を示すと、銀行は貸し渋りをしていると批判しがちです。
でも、銀行が会社を評価しないそもそもの要員は、その会社の業績がよくない、すなわち、その会社の顧客からも評価されていないからです。ですから、赤字の会社の経営者の方が銀行を批判しても、そのことに、あまり意味はないと思われます。すなわち、このことも至極当然のことなのですが、会社の経営者の方は、まず、利益を得るための活動に軸足を置き、それを支えてもらうために銀行から協力を得ようという姿勢をとることが基本だと思います。
このような当たり前のことを、あえて記事にするのは、利益を得る活動よりも、銀行から支援を受けることだけに目が向いている経営者の方が少なくないと感じているからです。銀行は、当座の資金繰の支援はできるものの、会社に利益をもたらす相手は、銀行ではなく、顧客ということを忘れてはなりません。