鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資申込にあたっては金額の根拠を示す

[要旨]

運転資金のための融資について、一度に多くの金額で申し込もうとする経営者の方は少なくないようですが、少額に分けて複数回申し込むことの方が、トータルの労力は少なくなります。また、資金繰予定表を作成することで、融資申請の労力を少なくすることができます。


[本文]

今回も、税理士の佐藤亜津子さんのご著書、「税理士がこっそり教える儲かっている会社の会計ルーティン15」から、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。「融資の申し込みにあたって、私が相談を受ける時に、一番多い質問は、『当社はいくら借りられるでしょうか?』です。しかし、この質問は、誰も答えられませんし、そもそも意味がないと考えています。

融資は、『いくら必要だから融資して欲しい』と申し込むものです。あればあるだけと言いたくなる気持ちもわからなくはないのですが、それでは融資の審査のしようがありません。そのためには、資金繰表を書いてみるしかありません。自社がこのまま融資を受けないままでも、余裕をもって経営していけるのかどうか、余裕を持たせるためにはいくら必要なのか、ということです」

私が銀行職員時代も、佐藤さんと同じことを感じていました。融資を申し込む方は、できるだけ多くの融資を受けて、融資申込の回数を減らしたいと考える傾向にあります。その理由は、融資申込は労力がかかるということと、将来の資金繰の計算が難しいということだと思います。しかし、融資の申し込みを受けていた立場から述べれば、もし、1,000万円の融資を受けたいのであれば、300万円を4回申し込むことの方が、トータルの労力は少ないです。

また、事業の規模にもよりますが、そもそも1,000万円の融資は不可能のときもありますので、そうであれば、少額でも融資を受けることの方が得策です。しかし、受けられる融資額が少額であれば、すぐに資金不足になる可能性も高くなります。そこで、これは面倒と感じるかもしれませんが、1回目の融資の申し込みをしたときに、「また、3か月後に、資金不足になる可能性があるので、2か月後に、改めて融資の申し込みをしたいと思います」と、銀行に伝えておきます。

そうすることで、2回目の融資の申し込みをするときに、また最初から説明する必要もなくなり、銀行も、1回目の融資の申し込みの続きとして話をきくので、労力はだいぶ少なくなるでしょう。もうひとつ、運転資金としての融資申込の労力を減らす方法は、佐藤さんもご指摘しているように、資金繰予定表を作成することです。極端かもしれませんが、会社が大幅な赤字ではない、または延滞をしていない限り、資金繰予定表を見せれば、それだけで銀行は融資に応じてくれるでしょう。

それは本当なのかと感じる方もいるかもしれませんが、融資申込を受けた際に、銀行職員がいろいろ質問するのは、その会社の資金繰を把握するためだからです。そこで、資金繰予定表ができていれば、銀行は質問することがほどんどなくなるわけです。ただし、不慣れな方は、資金繰予定表の作成は難しいことも事実のようです。しかし、一度作成できれば、次からは作成が容易になるので、資金繰予定表を作成してみいたいという方は、資金調達支援の専門家などに支援を依頼してみることをお薦めします。

2022/1/13 No.1856

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