鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

率先垂範はよくない

[要旨]

マネージャーは、プレーヤーとして率先垂範すべきと考えられることがありますが、マネージャーは、本当は、マネジメント能力が問われるべきです。それでも、マネージャーがプレーヤーとして仕事をしてしまう背景には、マネジメント能力を評価される仕組みが整えられていないことから、プレーヤーとして評価してもらおうとするためということが考えられます。


[本文]

組織マネジメントコンサルタントの安藤広大さんのご著書、「伸びる会社は『これ』をやらない!」を拝読しました。同書の中で印象に残ったことは、「マネージャーは、率先垂範をしてはいけない」という指摘でした。これは、マネージャーは、マネージャーとしての職務に徹しなければならないのであって、例えば、営業マンとしての仕事をして部下に範を示すようなことはすべきではないということのようです。

会社によっては、マネージャーの人が、プレーヤーの役割も同時に担うこともあると思いますが、そのような場合であっても、マネージャーの役割に軸足を置かなければなりません。このことは、ほとんどの方が十分に理解できることなのですが、マネージャー(社長も含む)である人が、ときどき、プレーヤーとしての仕事に注力してしまう理由としては、次のようなものが考えられます。

ひとつは、部長や課長などのポジションは、成績のよい人が就くものと考えられがちということでしょう。部長や課長は、本来なら、マネジメント能力が問われるポジションなのですが、営業マンとしての能力がないと、そのようなポジションに就いてはならないと、マネージャー自身や、部下から見られがちであることが、プレーヤーとしての力を見せたいと感じさせてしまうのだと思います。もうひとつは、マネジメントの成果は目に見えにくいことから、マネージャー自身が、自らの成果を、マネジメント以外のところで見せようとして、プレーヤーとして仕事をしてしまうのだと思います。

ただし、会社によっては、役職員数が少ないため、全員がプレーヤーにならなければならないという状況もあると思います。そのような考え方は正しいと思いますが、それは、本来は、一時的な体制であるべきであって、役職員数が増えてきても、同じ状況が続いていることは好ましくありません。今回、述べたことは、これまでも何度か述べてきた内容ですが、マネージャーはマネジメント能力で評価される仕組みを明確にし、マネジメントに専念できるような体制が大切であるということを、改めて感じました。

2021/10/26 No.1777

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