[要旨]
日本人は、自分のことを自分で決めることが不得手という習性があります。それは、画一的で従順であるという優れた面もありますが、能動的に動けないという弱点にもなります。
[本文]
東洋経済オンラインに、ジャーナリストの田原総一朗さんへのインタビュー記事が載っていました。記事の中で、田原さんが、1971年に、後の総理大臣となる、宮澤喜一氏からきいた、憲法改正に関する話が書かれていました。「私はね、日本人というのは、どうも自分の身体に合わせて洋服をつくるのは上手ではない、下手だと思うのですよ」
要は、日本人は、自分のことを自分で決めることが苦手だという指摘です。私は、憲法の内容がどうであれ、日本の憲法は、日本人自身が決めたものだという自覚を持つことが望ましいと考えています。憲法に限りませんが、当事者意識があるということは大切だからです。
でも、日本人は、農耕民族としての習性が残っており、「先人」や「長老」などのから「与えられた教え」に従っていれば大丈夫と、安易に考えてしまいがちだと、私は考えています。このようなムラ社会的な習性は、従順さという面では優れている反面、悪しき慣習も温存してしまうという弊害もあります。
これは、ビジネス面にも表れており、最近、いくつかの大企業で起きた、不正検査問題がそのよい例でしょう。とはいえ、私は、日本人の習性は全面的に否定されるべきものではないと思います。でも、日本が世界経済をリードする国になっているにもかかわらず、考え方が牽引する側ではなく、従う側のままでは残念だと感じています。
2021/10/25 No.1776