鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

偉人は周りの人に迷惑をかける人?

[要旨]

ビジネスパーソンとして成功するには、自分なりの明確な価値観を持たなければ、活動の方向も定まらず、研ぎ澄まされたものにはならないので、満足の行くものにはならないでしょう。


[本文]

毎回欠かさず視ているわけではないのですが、先日、たまたま、日本放送協会さんが放送している、テレビドラマのエールを視ました。(ご参考→ https://bit.ly/3jW7D8Q )ちょうど、主人公の古山裕一が、故郷の福島に帰ってきたところで、両親と弟に、婚約者の関内音との結婚に反対されるところでした。

裕一の家族は、裕一の結婚そのものに反対というよりは、裕一が家業を継がないことになることを反対していたようです。ただ、裕一のモデルとなった古関裕而さんの生涯からもわかるとおり、この後、裕一は音と結婚し、作曲家になります。そして、私は、この場面を見て、何人かの偉人のことを思い出しました。

そのうちのひとりは、裕一と故郷が同じ、福島県出身の野口英世です。英世は、上京したり、米国に留学したりするにあたって、知人から言葉巧みに借金をし、さらに、それらはほぼ返済しなかったそうです。また、英世が米国で研究生活を送る中、明治45年に、ひと目会いたいので帰国して欲しいという内容の母親からの手紙を受け取りながら、実際には、3年後にようやく帰国しています。

もちろん、当時は、米国から日本に戻るには、相当の日数や費用がかかる上に、研究に多忙という事情があったとはいえ、家族にとっては不義理であったと言えるでしょう。ちなみに、英世が帰国するにあたっても、英世は、その費用を工面するために、知人から借金をしたそうです。さらに、その帰国後、英世は再び米国に戻りましたが、それ以降、母親が亡くなった時も日本に帰国することはなく、51歳の生涯を閉じるまで外国で過ごしているそうです。

もちろん、英世は、ノーベル生理学・医学賞の授賞候補に、3度、ノミネートされるなど、著しい功績を残していることは、私が説明するまでもありませんが、その一方で、家族や知人に対しては不義理にするなどの、暗い面も持っていたようです。すなわち、ドラマの主人公の古山裕一も、野口英世も、偉人ではあるものの、別の面では、周りの人に大きな迷惑をかけている面があるということを、ドラマを見て思い起こしました。

だからといって、私は、偉人になるには、他人に迷惑をかけるくらいのことをしなければならないということを、述べようとしているのではありません。偉大な功績を遂げる人は、他人に迷惑をかけることを振り切るくらい、強い意志があるのだと思います。では、他人に迷惑をかけないよう、常に気にかけて過ごしている人は、成功者になれないのかというと、私はそうではないと思います。

成功者の定義は、自分で決めるしかないのであり、自分にとって、他人に迷惑をかけないことが最も大切だと考えている人は、それを実践し、その通りの人生を過ごすことで、自分なりの成功者になれるのだと思います。しかし、やってはいけないことは、自分で成功の定義をせず、他者からの評価ばかりを気にして、過ごしている人です。いわゆる、「自分自身がない」人です。

そのような人は、いつまで経っても、偉人にも成功者にもなれないどころか、自分自身が満足する人生を過ごすことはできるようにはならないでしょう。私のようなものが、このようなことを述べることは、少し僭越ですが、自分の価値観を持つことは、ビジネスパーソン、特に、他者を導くべき立場の経営者にとっては、とても大切だと思います。

 

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