鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ほしいものだけ受け取ることはできない

[要旨]

人はお金持ちになりたいなどと望む一方、都合のよい部分だけを受け取ろうとするために、それが実現しません。会社が事業規模を拡大しようとするときも、単に売上を増やすだけでなく、組織の体制整備を行う必要があるのですが、経営者の方はそれを見落としがちのため、なかなか実現できないようです。


[本文]

心理カウンセラーの心屋甚之助さんのご著書、「一生お金に困らない生き方」を読みました。「豊かさを受け取るといっても、いいこと『だけ』を受け取れるわけではありません。お財布の口を大きく開けていれば、大きく開けただけ、お金が入ってきますが、お金以外のゴミやクズやいらないものも入ってきます。余計なものはいらないから、とお財布の口を閉めてしまうと、ほしいお金も入ってきません。豊かさを受けとろうと思ったら、ほしいものだけでなく、ほしくないものも受け取る覚悟が必要です。(中略)

これはほしい、でも、これはいらない。仕事はほしい、でも、忙しいのはいやだ。自由がほしい、でも、かまってもらえないのはいやだ。有名になりたい、でも、世間から叩かれるのはいやだ。都合のいいほうだけ、ほしいものだけほしがっても、豊かさは手に入りません」この心屋さんの指摘は多くの人が理解できることだと思いますが、その一方で、実践している人はあまり多くないと、私は感じています。だから、お金持ちになりたいと望みながら、お金持ちになれない人が多いのでしょう。

そして、このようなことは、ビジネスでもよく見られることだと思います。典型的なものは、中小企業の社長が事業を大きくしたいと考えつつも、社長が自分の持つ権限を手放さないという例です。というのは、社長に権限が集中していては、事業規模は社長の目の届く範囲以上に大きくなりません。また、社長が管理業務よりも事業の現場に関心が高いままであるというときも同様です。

そのような社長が経営する会社は、管理業務が疎かになってしまい、結局、事業の規模はそれなりのままとなってしまいます。もちろん、必ずしも事業の規模は大きければよいということではないので、ずっと事業の現場に携わっていたいという社長は、事業規模はそのままでよいと思います。でも、管理業務は苦手だけれど、事業規模は大きくしたいと望むのであれば、その望みはいつまで経っても実現することはないでしょう。

2021/10/1 No.1752

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