鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

多様性を重んじる国の強さ

[要旨]

米国は、価値観の異なる人たちが集まっている国であり、組織運営に関する研究も進んでいます。その結果、優れたマネジメントを行う会社も多く、それが、米国の経済力の強さになって表れています。この優れたマネジメントについては、日本の会社も学べき点が多いと考えられます。


[本文]

東京第一弁護士会所属の弁護士であり、米国ニューヨーク州弁護士でもある、春山俊英先生に、私が制作しているポッドキャスト番組にご出演いただきました。春山先生は、米国での滞在経験がありますが、その時に感じた、米国の多様性に対応する文化をお話いただきました。米国は、多民族国家で、異なる価値観を持つ人たちが集まってできた国です。

世界の国々と比較すると歴史は短い国ですが、建国とともに、価値観の異なる人たちがどのようにまとまるかということに、たくさんのエネルギーを割いてきた国であるとも言えます。そのひとつの側面が、テイラー、バーナード、ドラッカー、ミンツバーグなど、組織に関する研究者が、たくさん登場していることだと思います。(ドラッカーオーストリア生まれ、ミンツバーグはカナダ人ですが、米国でも活躍しています)

また、米国の会社の強みも、多様性への対処能力が優れているからと、私は考えています。一方、日本の会社では、米国と比較して、従業員は会社への帰属意識が高く、経営者は、従業員の価値観の多様性への対応に、あまり労力を割く必要がありません。その結果、「マネジメント」については、日本が米国から学んでいるという面があるということは否めないでしょう。

もちろん、日本的経営にもすばらしい面があり、それは、ドラッカーが日本に多くの関心を寄せていたことからもわかります。しかし、これまで自由主義経済を牽引してきたのは米国であると私は考えています。だからといって、私は、盲目的に米国的な経営を称賛する意図はありません。ただ、多様性への対応が国の歴史にもなっていた米国は、マネジメントも優れたものとなっていると考えています。

このような状況は徐々に改善されつつありますが、つい最近までは、部下は上司に盲目的に従うものだという企業文化を持っている会社は、日本に多かったと思います。でも、これからは、日本でも経済活動のグローバル化が進む中で、多様性にも対応できる優れたマネジメント能力を持っているかどうかが、より強く問われることになると、私は考えています。

2021/10/2 No.1753

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