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業種と業態に関し、業種については、明確化されている一方で、業態については、明確な定義はないようです。そこで、業態とは、「小売業について、取扱商品の販売方法、売場面積などで分類するもの」として考えて行きたいと思います。
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業種と業態ということばは、ビジネスパーソンが普段から頻繁に使っていますが、両者の違いは何かと聞かれると、ちょっと答えにつまったので、調べてみました。とはいえ、業種については、説明はそれほど難しくないでしょう。日本標準産業分類などで示されている、建設業、製造業、卸売業、小売業などの、事業の種類ということは、容易に理解できます。
一方で、業態とは何かというと、明確な定義は見つからなかったのですが、経済産業省が公表している商業統計表の解説に、次のように書かれていました。「商業統計表の業態別統計編は、商業統計表の二次加工編のひとつとして公表・刊行される統計表で、商業統計調査を用いて、小売事業所(商店)についてその個別事業所ごとの主たる取扱商品の販売方法、売場面積などから業態の格付けを行い、それを再集計して公表しているものです」
さらに、業態区分については、百貨店、総合スーパー、専門スーパー、コンビニエンスストア、ドラックストアなどに分類しています。ですから、経済産業省によれば、業態とは、小売業について、取扱商品の販売方法、売場面積などで分類するものであり、それらは、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラックストアなどがある、ということになると思います。
ちなみに、経済産業省の所管する、事業再構築補助金の基本的な考え方を示している、事業再構築指針では、「業態転換」について、「製品、または、商品、若しくはサービスの製造方法、または、提供方法を相当程度変更すること」と定義しており、小売業以外にも、業態ということばを使っているので、商業統計の定義は、一般的なものではないようです。
さらに、日本フードサービス協会の公表している、「外食産業市場動向調査」では、飲食店の業態として、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブレストラン/居酒屋、ディナーレストラン、喫茶に区分しており、業界によっても、業態の指すものが異なるようです。ということで、業態については、明確に定まった定義はないようですが、中小企業診断士としては、「小売業について、取扱商品の販売方法、売場面積などで分類するもの」として、使いたいと思います。