鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

教え魔

[要旨]

コンサルタントや経営者の中には、独善的になって、顧問先や部下に対して一方的に教えようとする「教え魔」の面が見られることがあります。でも、教えられる側が能動的に活動できるようにするためには、相手の意見も取り入れるようにすることが望ましいようです。


[本文]

先日、日本放送協会のWebpageに、神奈川県内のボウリング場を取材した記事が載っていました。すなわち、ボウリング場の利用者の中に、頼まれていないにもかかわらず、他の利用者にボウリングを教える迷惑行為が多発していることから、それを防ぐために、「STOP!教え魔」というポスターを掲示したというものです。記事によれば、このような迷惑行為は、他のボウリング場や、ゴルフ場、ゲームセンターでも起きているそうです。

そして、教え魔は職場にもいることがあるので、他の従業員が悩むこともあるそうです。これについて、新潟青陵大学碓井真史教授は、「自分が愛している物事に貢献できて、自分が気持ちよくなれることがが、教え魔の心理だ」と解説しています。私自身にも言えることですが、コンサルタントになりたい、または、コンサルタントになったという方の動機には、「教えることが気持ちいい」というものがあると思われます。

これについては、私にも自覚があるので、決して独りよがりにならないよう、留意しています。さらに、プロコーチの君塚正道さんは、「教わる側の人がやりたいことや、その人にとっての答えを導いてあげることを意識することが大切で、例えば、AとBの2つの選択肢がある場合、『AとBのどっちをやりたい?』と尋ねることで、相手に決定権を持たせ、結果として自発的に取り組んでもらうことができるようになる」というアドバイスをしています。

私も、顧問先の事業改善のお手伝いをしていると、部外者でもあることから、その会社の改善が必要だと感じられる点が、たくさん目につきます。だからといって、片っ端からそれを指摘すれば、会社がよくなるとは限りません。そこで、私は、経営者の方の話をよく聴いてから、経営者の方の望む改善方法や改善対象を決め、それについて改善活動のお手伝いをするようにしています。

このような方法は、遠回りのように思われますが、経営者の方が改善活動に能動的に取り組むので、効率的だと考えています。そして、このような対応の仕方は、上司と部下の関係にもあてはまると、私は考えています。もし、自分は教え魔の面があるかもしれないと感じる経営者の方は、自分の指導方法について、見直してみることをお薦めします。

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